ラオウが、マサタカの分まで…! オリックス杉本裕太郎外野手(30)が2回に決勝の先制29号ソロを放った。ソフトバンク千賀の2球目159キロ直球を弾丸ライナーで右翼席にぶち込み「(吉田)正尚が打ったような打球で、乗り移ったのかもしれません!」とお立ち台で叫んだ。

主砲の吉田正が右尺骨骨折で離脱。優勝争い真っただ中だが「とても連勝しているチームの雰囲気ではなくなった…」とどんよりムードだった。そんな暗雲をラオウが一振りで明るくしてみせた。2学年下の吉田正とは青学大時代から3、4番を組み、気心も知れている。「今までずっと僕らを支えてくれた。あいつの代わりはいない。僕たちもすごくショックだった。でも一番悔しいのは本人。全員で勝てるように頑張るので、ファンの皆さんも元気を出してください!」。後輩を思ってファンに呼び掛け、さらに盛り上がった。

8試合ぶりの1発が、千賀の今季初被弾と知ると「もう打てないと思うので1本でも打てて良かった」と豪快に笑った。29号はタイトルを争う柳田の頭上をいき、これで2本差。球団日本人右打者では90年石嶺以来、31年ぶり5人目の30本塁打まであと1本に迫ったが「あと1本打ちたい。そしたらもう満足です」と求め過ぎず、謙虚に臨んでいく。

1分けを挟んで7連勝で首位キープ。今季6度目の同一カード3連勝で、貯金は今季最多の14となった。中嶋監督は吉田正について「早く帰ってきて、試合に出たい、優勝したいと本当に思っていた」と語り、「そういう選手が離脱。何とかいい形を見せたい」と思いやった。

残り15試合。最短なら8日にいよいよ優勝へのマジックナンバー9が点灯する。杉本は1日から目の下にアイブラックを使用している。「僕ドライアイで…。ドームは目が乾いてまぶしいんです」。25年ぶりの歓喜が訪れれば、ラオウの目も潤むはずだ。【真柴健】