次世代エースでマジック点灯ヤ! ヤクルトが2位阪神との大一番を制し、6年ぶりとなるマジック11を点灯させた。2年目の奥川恭伸投手(20)が6回2/3を1失点と好投。チームトップタイの9勝目を挙げるとともに、チームを7連勝に導いた。それでも出てきたのは反省の言葉。優勝へ向けて突き進みながらも、成長への努力を怠らない若き右腕が、ツバメをセ界の頂点へと押し上げる。

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首位を走るヤクルトが、今季127試合目で優勝マジックを点灯させた。4番村上が打って、奥川が勝利を挙げる。理想的な展開で連勝を7に伸ばした。高津監督は、次世代エースの好投に「気持ちが乗っていたのは間違いない。いつもと表情が違うように見えた。見事ですね」とたたえた。

2位阪神との直接対決。勝つか引き分けでマジック点灯という緊張感のあるマウンドで、立ち上がりからエンジン全開で腕を振った。プレッシャーを糧に自然と力も入る。高校時代は修羅場をかいくぐり、何度も甲子園のマウンドで投げてきた。「ほぐすというよりも受け止める。そうやって今までやってきた。緊張感あるゲームは投げていて楽しい」。気後れせず、堂々と投げ込んだ。要所を締めるたびに、ガッツポーズで感情を爆発させた。5回2死走者なしでは、梅野を外角高め147キロの直球で空振り三振。普段より球速は出なかったが、キレと気迫で振り遅れさせた。

それでもチームを勝利に導いた右腕は、盛り上がる神宮とは対照的だった。強調したのは「申し訳ない。もっと長いイニングを投げたかった」という反省の言葉。7回2死一、三塁では8試合ぶりの四球で2死満塁のピンチを招き、降板した。2番手田口に救われた形に。「いつも通り投げたが、今日はうまくいかなかった」と厳しかった。普段よりボール球が多く、打者に対してカウント負けしたことを悔やんだが、試合を作り、流れを呼んだ。

6年ぶりのマジック点灯で、リーグ優勝がいよいよ近づいてきた。奥川は「これから優勝へ向かって、一生懸命投げたい」と意気込む。指揮官も「負ける気がしないというとちょっとあれですけど、負けたくないという気持ちはみんな強い。牙むき出して、鼻息荒く、グラウンドに立っているんじゃないかなと思う」と興奮気味だ。ラストスパートへ向けて、全員がギアを上げた。【湯本勝大】

▼ヤクルトに優勝マジック11が点灯した。2位阪神は残り13試合に全勝で83勝53敗7分け、勝率6割1分。ヤクルトは残り16試合のうち阪神戦4試合に敗れても他カードで11勝すれば78勝49敗16分け、勝率6割1分4厘で阪神を上回る。2位以下の5球団に自力Vがなくなり、M11が出た。現日程での最短Vは15日。

▼ヤクルトは19年が優勝した巨人から18ゲーム差の6位で、昨年はVの巨人から25ゲーム差の6位。ヤクルトは前回の優勝も13年6位→14年6位→15年優勝。過去に、前年最下位から優勝は15年ヤクルトまで7度あるが、2度やったチームはまだない。

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