楽天の“広報マン”が、広報活動に成功した。島内宏明外野手(31)が同点の9回1死一、二塁の土壇場で、西武平良から勝ち越しの決勝打を放った。4戦連続適時打でリーグトップの92打点。球団史上3人目の100打点も見えてきた。チームは7日ロッテ戦に続き、2戦連続で9回に守護神を打ち3連勝。2位ロッテとのゲーム差を1・5に縮め、リーグ優勝時の13年以来8年ぶりの本拠地CS開催も射程圏に入れた。

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「パ・リーグ打点ランキングトップ」の島内が、重役級の肩書通りに責務を果たした。同点の9回1死一、二塁。2ストライクから平良の外角チェンジアップに食らいついた。「コースとかは分からないですけど、まあ前に飛べ、みたいな感じですね」と中前へ決勝適時打。代走を送られ仕事を切り上げると、仕事道具のバットを手に、ベンチで同僚の祝福を受けた。

せっせと汗をかき続けるわけがある。2位以上になれば、リーグ優勝時の13年以来8年ぶりの本拠地楽天生命パークでCSを開催できる。試合後のリモート取材。「いやらしい話になるんですけど…」と声量をやや落とし「2位以上になったらスポンサーの方々が来年も(契約を)継続してくれる。広報活動として2位以上にはなりたいと思っているので、みんなで頑張っていかないといけないですね」とニヤリ。球団の中枢人物として、チームの勝利と利益を求める。

日頃から“広報マン”としての顔をのぞかせる。試合で活躍した際に球団配信されるコメントは「名付けて●●打法です」などと独特のゆるさから“島内語録”として人気を博す。リングメモ帳などにグッズ化され、生え抜き10年目で多くの“顧客”を抱えている。

チームはここ10戦で6勝2敗2分けと“業績”は右肩上がり。島内も4戦連続DHでのスタメン出場に「暇だったら裏でバットを振っちゃう。疲れちゃうだけなので、今日は裏ではトータル4スイングくらいですね」と独自の調整法で勝利に貢献する。残り13試合。楽天イーグルスを愛するお客さまのために、広報活動に励む。【桑原幹久】

▼楽天石井GM兼監督(決勝打を放った島内に)「島内はもちろん頼もしいですけど、周りにいる選手がしっかりとチャンスメークしてくれている」