広島森下暢仁が7回7安打無失点と力投し、自身3カ月ぶりの勝ち星となる7勝目をつかみ取った。後半戦9試合目にしてようやくつかんだ初勝利に「正直ずっと苦しい気持ちだった。チームのみなさんに『腐るな』と言ってもらって、必死に頑張りました」。経験したことのない苦しみから解き放たれ、久々に安堵(あんど)の表情を浮かべた。

ピンチで本領を発揮した。3回まで毎回得点圏に走者を背負うも、粘りの投球で無失点に防いだ。3点リードの7回2死二、三塁で坂本を打席に迎え、追い込んでからの112球目。この日最速の内寄り153キロ直球を捉えられたが、菊池涼の正面への二直となり、「ホッとしました」とニヤリ。終盤で失点を許して落とした試合もあっただけに、ゼロ封は大きかった。

同期入団の後輩玉村のエールに発奮した。ともに後半戦で勝ち星を挙げられず「俺たちで足引っ張ってるね」と嘆いていたという。7日の中日戦で玉村が先に勝利投手となり、ヒーローインタビューで「森下さんがまだ勝ってないので、次は期待してください」と話した。「やらなければいけないと思った」と後輩の愛あるゲキに結果で応えた。

5連勝で借金を「10」まで減らし、3位巨人に6ゲーム差に迫った。森下の復活は、チームをさらに加速させる。【古財稜明】

▽広島佐々岡監督(先発森下について)「(今まで投打が)かみ合わなかったところもあった。1点も与えないという気持ちも出ていたし、粘り強さがあった」