早大が4番の大暴れで明大に逆転勝利した。今井脩斗内野手(4年=早大本庄)が決勝打を含む4安打2本塁打5打点。

規定打席に達し、打率6割3分6厘、3本塁打、14打点で打撃3部門全てでトップに立った。逆転優勝に望みをつなぐ大きな1勝だ。

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「行け、行け、行けー!」。ベンチの声に押されるように、今井の打球は右翼手の頭を越えた。2点を追う9回2死走者なしから1点を奪い、なお一、二塁で回ってきた。明大・蒔田の変化球を逆方向へ。「みんなが2死から作ってくれたチャンス。4番として何としても打ちたかったです」。逆転を見届けた二塁上で両手を大きく振り下ろした。

遅咲きのバットマンだ。神宮デビューは2年秋。3年時は試合出場なく、初スタメンと初安打はこの春だ。今秋も開幕の立大戦は出番がなかった。だが、次の東大戦から大当たり。ついに、この日「1つの目標でした」という4番に抜てきされると、4回、6回とソロを続け、8回は適時打。そして、9回に逆転決勝打を放った。小宮山悟監督(56)が「バットを持たせたらプロレベル。首位打者も取れると言っていたが、期待以上」と驚く働き。監督の「右方向を意識するように」という指導が実った。

敵も味方もドラフト指名された選手がいる中、今井は大学で野球をやめる。「野球人生、残りわずか。有終の美を飾れれば」。小宮山監督は「奇跡を起こして逆転V。そのためにも今井を3冠王で終わらせます」と宣言した。【古川真弥】