巨人亀井善行外野手(39)が今季限りで現役を引退することが分かった。今日21日にも球団から正式発表される。上宮太子高から中大を経て、04年ドラフト4位で巨人入り。今季でプロ17年目のベテランがバットを置く。喜怒哀楽を隠さず、素を貫く、コテコテの野球人だった。印象的なシーンを当時の記事で振り返る。

【俊足カメのランニングホームラン(09年8月1日、阪神戦=甲子園)】

右中間最深部に飛んだ亀井の打球が、あらぬ方向に角度を変えた。2回、先頭の5番打者。甲子園上空は普段の浜風と逆に、左翼から右翼へ風が吹いていた。思い切り引っ張ったボールは「いい当たりではなかったが、伸びましたねぇ」。慌てて追いかける阪神赤星と葛城の外野陣。2人が交錯すると、白球は坂を転がるおむすびのようにコロコロと、センターラインの中心まで転がっていった。

亀井は二塁ベース付近でボールを確認。緒方三塁ベースコーチが大きく回す右腕に比例して、一気に両足の回転数を上げた。「絶対ホームにいける、と思いました。小学生の時は、ランニングホームランってのは多かったんですよ」。巨人のカメはチーム屈指の俊足だった。滑りこまず本塁生還。チームでは05年以来のランニング本塁打、甲子園ではなんと17年ぶりだ。

出迎えのハイタッチは「なんだか、みんな笑ってましたよね。普段より」。13号ソロを放ったヒーローは、試合が終わっても「見た? 見た?」とはしゃいでいた。甲子園の黒土を駆け抜け、一周するのはやはり格別。「気分良かった? ですねぇ…。走りながら笑ってしまいましたよ」と野球少年に戻って無邪気だった。