巨人亀井善行外野手(39)が今季限りで現役を引退することが分かった。近日中にも球団から正式発表され、会見が行われる。上宮太子高から中大を経て、04年ドラフト4位で巨人入り。今季でプロ17年目のベテランがバットを置く。喜怒哀楽を隠さず、素を貫く、コテコテの野球人だった。印象的なシーンを当時の記事で振り返る。

【無敵のチャンピオンベルト(21年2月、那覇キャンプ)】

14年間、愛用してきた“物差し”が順調な調整を明確に示している。巨人亀井が気持ちよさそうにバットを振り込んだ。「この時期はバッティングがバグるんだけど、今日はたまたま振った。明日からは謙虚にやります」と打球は右翼スタンド後方の防球ネット上段に到達。超特大弾を含む柵越え3連発で締めた。

今季で39歳を迎え、チーム最年長になった。笑いしわも増えてきた。腰に巻き付けたベルトもしわだらけだった。「これは14か15年は使っている。試合もずっとこれ。撮影のときも。このベルトはフィットするんだよね」。年季の入ったベルトに手をやった。

5つの穴が状態のバロメーターになる。キャンプインはやや脂肪を蓄え2つ目。キャンプ終盤は、3つ目でシーズン中のベスト。夏場の疲労で食が落ちれば4つ目。「例年はこの時期は2つ目なんだけど、今は3つ目。2つ目は腹が出てるの。だんだんキャンプで絞って3つ目になる。下手すると4つ目になるけど、基本はシーズン中も3つ目がベスト」と、苦楽をともにしてきた“相棒”からも順調の太鼓判を押された。

今季はFA加入で梶谷も加わり、外野の定位置争いは激化する。亀井は「正直、レギュラーは難しいかもしれないけど、僕は『困ったときに亀井がいる』と言われたほうがうれしい。梶谷もチームが強くなるために来てくれた。うれしいですよ」と胸の内をさらけ出した。

「野球選手は常に不安なもの。それはみんな一緒だと思う」。不安だから練習するし、探求心と向上心を絶やさない。リーグ優勝、日本一をともに経験してきた無敵の“チャンピオンベルト”で17年目のシーズンに挑む。