巨人亀井善行外野手(39)が今季限りで現役を引退することが分かった。今日21日にも球団から正式発表される。上宮太子高から中大を経て、04年ドラフト4位で巨人入り。今季でプロ17年目のベテランがバットを置く。喜怒哀楽を隠さず、素を貫く、コテコテの野球人だった。印象的なシーンを当時の記事で振り返る。

【史上初の開幕代打コトイチ弾(21年3月27日、DeNA戦=東京ドーム)】

代打弾で開幕を高らかに告げた。巨人亀井が9回に1号サヨナラ弾を決めた。DeNA守護神三嶋のスライダーを完璧に捉えた。開幕戦での代打サヨナラ弾はプロ野球史上初。自身通算99本目の1発で大台に王手をかけた。

「完璧でした。今年まだ始まったばかりでしたけど、今年一番の当たりでした」。お立ち台で照れくさそうに言った。球春の高揚感を主戦場で体現した。

百戦錬磨の経験が無数のセンサーを動かした。次打者席からDeNA三嶋の投球練習をチラ見しながら「ストライクが入ってなかった。1ストライクまでは見ようかなと」。初球151キロ直球はボール、2球目138キロスライダーを見逃してカウント1-1はプラン通りだった。スイッチを入れた3球目は同じ軌道で139キロスライダー。ファーストスイングは最高の感触が残った。

大台まであと1本に迫る通算99号。地道にコツコツと積み上げてきた。「遅いでしょ。恥ずかしいよ。ホームラン打者じゃないからね。節目は記録にはなるけど得点圏での打撃のほうが大事」と今までと同じように1発よりも1勝を追う。

ファンとともに21年のプロ野球が開幕した。「緊張感というか、いろいろと経験もしてきた。苦しいことも。こういうところで力を出す。今までの経験が力になっている」。今年一番の当たりじゃない。もっと、もっとすごい一打、歓喜、感動がこの先の戦いで待ち受けている。