巨人山口寿一オーナー(64)が23日、3年契約の3年目だった原辰徳監督(63)の続投決定を表明した。リーグ3連覇は逃したが、昨季まで2連覇の手腕をあらためて評価。複数年契約を提示し、内諾を得た。来季は阿部慎之助作戦コーチ(42)の1軍首脳陣入閣と元木大介ヘッドコーチ(49)の留任も明言。通算16年目も選手と首脳陣の世代交代を進めていく。チームは東京ドームでのヤクルトとの本拠地最終戦に快勝して3位を決め、クライマックスシリーズ(CS)進出を自力で決定。「下克上日本一」への挑戦権を得た。

    ◇    ◇    ◇

来季も「原ジャイアンツ」でシーズンを迎える。ヤクルト戦後、視察した山口オーナーは「大事な勝負どころで勝てなくなってしまって優勝争いから脱落したことは、ファンの皆さんに大変申し訳なく思っております」とV逸を謝罪した。そのうえで「来季、原監督に続投を要請して、内諾を得ました」と明言。続けて「阿部君に来季は1軍のベンチにコーチとして入ってもらって、元木ヘッドと3人を中心にチームを立て直してほしい」と明かした。阿部コーチの役職は作戦や打撃などを軸に、検討していく方針だ。

3年契約最終年でリーグ3連覇を逃したが、原監督への信頼は揺るがなかった。9月以降に球団史上4度目の10連敗も喫するなど10勝24敗8分けと大失速した。だが9月までは故障者や離脱者が続出する中で首位に立ち、高橋と戸郷が合計20勝と成長した。山口オーナーは「選手を育てながら勝ってほしい、それと指導者も育ててほしいとお願いしてやってきているんですけども、その点に関しては力を尽くしてくれている」と評価。「結果が出ていないのでいろいろ批判もあろうかと思いますけども、私の立場からは原監督に対する信頼関係は変わっていない」と言い切った。

昨季まで通算14年で9度のリーグ制覇と日本一3度を成し遂げつつ、阿部や坂本、この日に引退セレモニーを迎えた亀井らのような主軸に加え、将来の巨人を背負う指導者育成も託した。現役時代にチームを支えた阿部、村田、杉内らを第3次政権で首脳陣にすえ、5日からは阿部2軍監督を1軍作戦コーチに配置転換。勝負どころに間近で1軍経験を積ませている。来季も球団の伝統と指揮官としての帝王学を継承するためにも続投の結論に至った。

ただ、今季の戦いはまだ続く。首位ヤクルトに9月22日広島戦以来の2ケタ得点で快勝し、CSへの出場権をつかんだ。山口オーナーの発言前の本拠地最終戦セレモニーで、原監督は「力足らず、9月、10月、非常に苦しい戦いでした。この苦しさを、ユニホームを着ている全員が糧として、CS進出を勝ち取りました。チャンスがある限り、ジャイアンツは1つになって、ワンチームになって戦い抜きます」と誓った。下克上日本一からの常勝軍団実現へ、原ジャイアンツの挑戦は続く。【浜本卓也】

巨人ニュース一覧はこちら―>