日本ハム立野和明投手(23)は1学年上の伊藤に負けないくらい肝っ玉が据わっている。4日前のメットライフドームでも肝っ玉ぶりを発揮した。試合前練習で外野を守っていた時だ。「23年間、お疲れさまでした。松坂さんが甲子園で投げている年に生まれました」。自己紹介したのは19日の引退試合から一夜明けの西武松坂。初対面のあいさつだ。

衝動が仰天の行動の原動力だった。元西武の木村が松坂からサインをもらっている姿を見て「えっ!? 欲しい」と思った瞬間に体は自然と動いていた。「もしよかったらサインください」。いきなり懐に飛び込んできた23歳に大笑いした平成の怪物は「全然いいよ」と快諾。立野はとっさに、被っていた帽子にサインしてもらったという。「飾ります。絶対使わないように。絶対洗わない」と、家宝にするつもり。最後に「頑張ってね」とエールまで受けて感動したという。

そんな発奮材料を手に臨んだロッテ戦(ZOZOマリン)は6回5安打2失点(自責1)と好投も3敗目。負けはしたが、今季最終登板も直球を軸に、低めを丹念に突く安定した投球で試合をつくった。

悔やんだのは6回。味方のミスが絡んだピンチで「粘り切ることができずに追加点を許してしまいました」。来季はシーズンを通して先発ローテ定着が期待されるからこそ、今季限りで退任する栗山監督からは「それでもゼロに抑えられるピッチャーになってくれ」と、最後のメッセージを受け取った。失敗を恐れず、大胆に立ち向かうことができる立野なら、きっとできる。3年目の大ブレークへ、土台を築いた2年目が終わった。【木下大輔】