ヤクルトが26日、6年ぶり8度目のリーグ優勝を果たした。

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岩出山の星が、「高津再生工場」の象徴的存在となった。今野龍太投手(26)は、今季63試合に登板。一年を通じてブルペンを支えた。東京で好投を続ける裏で、地元・宮城から送られる温かいエールがあった。

一仕事を終えると、スマートフォンの通知がなる。メッセージが送られるのは親族のLINEグループ。親、兄弟、いとこ、おじ、おば…。約20人が参加している。試合で投げた後は「登板したよ」「しっかり抑えたよ」と報告。打たれたときは「次は頑張れ」と激励を受ける。離れていてもみんなが応援してくれている。「やっぱり力になる」と少し照れくさそうに話した。

大崎市内の旧岩出山町出身。現在の岩出山地区の人口は9900人ほど。小さな田舎町から、部員11人で臨んだ岩出山高3年時では、夏の県大会初戦でノーヒットノーランを達成し、“岩出山の星”と呼ばれた。13年ドラフト9位で楽天に入団し、小さな田舎町から羽ばたいた。当時18歳ながら、一方で現実的な考えも持っていた。「自分の高校のレベルも高くなかったので、3年ぐらいできればというのはあった」と打ち明ける。19年オフに戦力外通告を受けるも、フォークとカットボールを磨いて躍進。「8年もやれてるというのは自分でもびっくりしている」と笑った。

日ごろの応援のお返しとして、故郷にリーグ優勝を届けた。「ここまで来たからには長い間野球をやりたい」。日本シリーズ出場に、日本一、そして来年以降。まだまだチームに貢献できることはある。「ヒットを打たれても0点で戻りたい」。その気持ちだけを胸に、躍動する姿を応援してくれるみんなに見せ続ける。【湯本勝大】