阪神が今季143試合目で力尽きた。矢野燿大監督(52)が2回の攻撃で先発青柳に代打を送るなど攻めの采配を見せたが、守りのミスが出るなど攻守で踏ん張れなかった。今季は2位に最大7ゲーム差をつけながら、首位を守れず、終盤に猛追したが、16年ぶりのリーグ制覇には届かなかった。まだ日本一の可能性は残されており、短期決戦でヤクルトに雪辱を期す。

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逆転優勝の望みは143試合目で断たれた。0-4で迎えた9回2死走者なし。5番大山が中日マルティネスの外角158キロを引っかけて遊ゴロに倒れた。絶対に負けられない一戦で、今季11度目となる0封負け。敗北の瞬間、ヤクルトのリーグ制覇が決定し、猛虎は16年連続のV逸となった。

「もう、勝つしかうちは、チャンスがほぼないんで。チャンスがあるところで行かないと、条件的に厳しい」

矢野監督は序盤から必死にタクトを振った。2回2死一、三塁で9番青柳に打席が回ると、代打小野寺を起用。13勝右腕をあきらめ、同点を狙ったが、遊直に倒れた。その直前の2回の守備では1死一、二塁から木下拓に三ゴロを打たせたが、二塁手糸原が一塁悪送球。その間に二塁走者が生還し、先制を献上した。

あと1歩だった。前半戦は首位を独走し、一時は2位に7差をつけた。後半戦はヤクルトが驚異的な追い上げを見せたが、10月は12勝5敗3分けと引かなかった。大山、近本、梅野ら主力がベンチに控えるなど苦しい状況の中で、選手をやりくりして白星を積み重ねた。指揮官が掲げる一丸野球を貫いたが、わずかに頂点には届かなかった。

「全体としてはステージが上がった。プラスのこともいっぱいある。でもやっぱり勝ち切ってない。勝ちきれなかったからこそまだまだ成長が必要」

最終戦後のセレモニーで矢野監督はマイクの前に立ってファンに宣言した。「今日のこの最後の試合、こういう試合に勝ちきれる、もっともっといいチームにもっともっと強いチームになっていけるよう、新たなスタートとしてこの悔しさを持って、戦っていきます」。まだ日本一への挑戦権は残っている。まずは3位巨人とのクライマックスシリーズ(甲子園)。打倒ヤクルトの思いを胸に、ポストシーズンへ挑む。【桝井聡】

▼阪神がレギュラーシーズン最終戦に敗れた結果優勝を逃したのは、73年以来48年ぶり。同年10月22日に、2位巨人と甲子園で対戦。阪神は○か△なら優勝だったが、0-9と大敗して巨人のV9を許した。