広島森下暢仁投手(24)が、8日から始まる秋季練習に向けて、2日続けてマツダスタジアムで調整を行った。

今季チーム最多の163回1/3を投げたが、シーズン終了後の休養は3日間だけ。1月の自主トレに向けて、再び動きだしている。プロ入りから新人王、金メダル獲得と大投手の階段を上がる右腕は、来季にさらなる進化を目指す。

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わずかな休養期間を経て、森下は3年目の来季に向けて動きだした。シーズン最終戦から4日後の5日に再始動。この日もマツダスタジアムに姿を見せ、軽めのランニングやウエートトレーニングで汗を流した。「いいことも悪いこともあった中で、ケガなく投げ切れた。ある程度はできたかなと思うけど、もっと高い目標を持って投げていきたい」と引き締めた。

2年目の今季はタフなシーズンだった。5月に新型コロナウイルス陽性者の濃厚接触者判定を受け、隔離を余儀なくされた。それでも昨季よりも6試合多い24試合に登板し、プロ入り初の規定投球回をクリア。リーグ2位の163回1/3を投げ切った。日本代表として出場した東京五輪では2試合に先発して、金メダル獲得に貢献した。

積み重ねた数字に一定の納得はしながらも、満足感はない。「野手や中継ぎは毎日試合に出ている。先発が与えられた試合は週に1度だけ。そこでしっかりチームに貢献しないといけない」。

よりチームの勝利に貢献するため、意識するのは“ハイクオリティースタート”だ。投球回6回以上で自責3点以下に抑えた時に記録されるクオリティースタート(QS)は、先発投手の指標として浸透しているが、森下は「7回以上は投げたい」と言い切る。QSを上回るハイクオリティースタートは7回以上、自責2以下。今季も、昨季の10度を上回る11度記録したが、満足していない。

来季へ向けて、8日からはマツダスタジアムで秋季練習が始まる。年が明ければ自主トレの強度も上がる。11月1日にシーズン最終戦が終わったばかり。オフといえる時間は、あまりない。「しっかり考えながら1月に向けてやっていきたい」。理想とする“チームを勝利に導く投手”となるためにも、立ち止まってはいられない。【前原淳】