大山よ、根拠を持て! 阪神矢野燿大監督(52)が秋季練習で就任4年目の新たな試みとなる「データミーティング」を開始した。初日の面談相手は大山悠輔内野手(26)。北川、新井両打撃コーチらと約1時間、本人の意見も聞きながら今季のの打撃を振り返った。矢野監督は現役時代、「ノムラの教え」をもとに、配球を読むことで打率をアップさせた経験から、悩める主砲にも狙い球を絞ることを勧めた。

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勉強の秋だ。矢野政権4年目で、初の試みがスタートした。悩める主砲大山が初日の受講生。全体練習後、矢野監督、井上ヘッドコーチらと意見交換した。

勝利最優先の打撃に徹する大山だが、今季は得点圏打率2割5厘、4本塁打、46打点とチャンスで苦しんだ。データミーティングを提案した井上ヘッドコーチは「(得点圏で)この球団だったらこういう配球をすることない? って」とスコアラーの資料をもとに、打った時、打てなかった時の映像を見ながら振り返った。

矢野監督は狙い球にもっと根拠を持つように求めた。今季巨人左腕高橋には13打数1安打、ヤクルト奥川は12打数2安打、中日柳は7打数無安打だった。「苦手な投手とかレベルの高い投手は全部打ちにいっても全部打てないわけじゃん」。今季の89三振のうち、空振り三振は62個だった。追い込まれてからの真っすぐの可能性を捨てきれず、低めボール球の変化球に空を切ることも多かった。「打席だと真っすぐに見えちゃう。(頭から)真っすぐを消す努力を、根拠を持ってね。データも含め自分で根拠を自分で高めて、ここはこういう球でくると勝負していかないと」と狙い球を絞るべきと話す。

指揮官はさらに続けた。「見逃し三振って、絵的には一番よくないアウトだけど、オーバーに言えば真ん中真っすぐを見逃し三振したって仕方ない。その前に勝負したんだから。そういう気持ちの確認をした」という。監督自身の経験に基づいている。野村克也監督が就任した99年に、打率3割4厘と自身初の3割をクリアした。「ノムラの教え」で相手の配球を読むようになり、前年の2割1分1厘から大幅アップした。

今後、佐藤輝らレギュラークラスは1日1人、控えは1日2人のペースで、同様の面談を行う予定。技術、体力だけでなく考える力も強化し、17年ぶりのリーグ優勝へ底上げする。【石橋隆雄】

<今季の大山>

◆2年ぶりの開幕戦(3月26日ヤクルト戦)4番三塁でフル出場。昨年の開幕戦は出番がなかったため、開幕戦出場は2年ぶり。2安打1打点の好発進に「自分のするべき仕事をすることができて良かったです」と手ごたえを口にした。

◆最遅1号(4月15日広島戦)開幕68打席目での初本塁打は、プロ5年目で最も遅かった。「結果的に決勝打になっているので、すごくいいことだなと思います」と勝利を喜んだ。

◆初の故障2軍(5月5日ヤクルト戦)背中の張りで途中交代し、そのまま登録抹消。18年には不振で2軍落ちがあったものの、けがでは初となった。同25日に1軍復帰。

◆奇跡の逆転サヨナラ安打(7月12日DeNA戦)9回に0-3から追いついた後、2死一、三塁で三嶋から中前サヨナラ打。「チーム一丸となって勝ち取った勝利だと思っています」とリーダーらしくひと言。

◆G戦サヨナラ本塁打(9月4日巨人戦)9回無死一塁で、ビエイラから。阪神選手の巨人戦逆転サヨナラ本塁打は、88年田尾以来33年ぶり4人目。「死ぬ気で打ちにいきました」と気合十分だった。