阪神がドラフト3位指名した新潟医療福祉大・桐敷拓馬投手(4年=埼玉・本庄東)の入団が決まった。19日、新潟市内のホテルで仮契約を結び、リモート会見した。契約金6000万円、年俸1000万円(いずれも推定)で合意した。関甲新学生リーグ初の完全試合を秋季リーグ平成国際大戦で達成した最速150キロ左腕は開幕1軍を狙う。

    ◇    ◇    ◇

会見当初、画面に映し出された表情は硬く、目も鋭かった。球団から高評価を受け、身を引き締めて臨んだリモート会見だった。

桐敷 プロ野球選手という実感が少しずつ湧いてきた。1軍。即戦力という言葉もいただいたので(開幕)1軍で投げるということを達成してチームに貢献したい。ファンは12球団で一番の熱量。それを力にしたい。

大きな“手土産”を引っ提げ入団する。関甲新学生リーグで金字塔を打ち立てた。ドラフト会議5日後の10月16日。秋季リーグ平成国際大戦でリーグ史上初の完全投球。19三振を奪い、リーグ最多奪三振記録の18を塗り替えた。大記録達成に周囲はザワついたが「雑音」に惑わされなかった。阪神・吉野誠スカウトは「気持ちが常にフラット。一定の感情で投げられる」と評価する。

桐敷 完全試合は狙っていなかった。打者1人1人を抑えることを意識し、結果的に三振も多くなった。何かを目指すと空回りする。1人1人の気持ちを忘れずにプロでもやっていきたい。

起用法の希望はない。任された役割を果たして勝利に貢献するだけ。ただ、すでにプロで活躍する同い年の選手には激しい闘争心を燃やしていた。

桐敷 同学年、同リーグのヤクルト村上選手と対戦したい。左右に広角に打つ力強い打撃。(この年齢で)プロで活躍しているのはすごい。

現在は柔軟性をテーマに自主トレに取り組む。プロで故障知らずのシーズンを過ごすには筋トレより柔軟性の方が重要だと考える。F1などのモータースポーツが大好きで年俸が上がったらスポーツカー購入も視野に入れる。

桐敷 大学では「キリ」と呼ばれていたのでプロでも、そう呼ばれたい。桐敷という名字を活躍することによって広めたい。

最速150キロ左腕の思いは広がるばかりだった。【涌井幹雄】

◆桐敷拓馬(きりしき・たくま)1999年(平11)6月20日生まれ、埼玉県出身。野球は屈巣小1年から屈巣ニュースターズで始め、中学時は行田リトルシニア所属。本庄東高では1年秋から背番号1。3年夏4回戦の川口市立戦では延長12回で19奪三振を記録した。甲子園出場はない。178センチ、90キロ。左投げ左打ち。血液型O。