素の自分をさらけ出し、一から出直す。巨人中田翔内野手(32)が7日、都内の球団事務所で契約交渉に臨み、今季の推定年俸3億4000万円から、減額制限(1億円超の場合は40%)を超える1億9000万円減の年俸1億5000万円で更改した。

日本ハム時代の8月に同僚選手へ暴力行為を行ったとして出場停止処分が下された最中、巨人に電撃トレード移籍。新天地では実力を発揮できずにシーズンを終えた。来季は4度目の打点王と20年の31本を上回るアーチ量産を目標に設定。豪快なスイングを取り戻し、結果を残す。

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失った「中田翔らしさ」をもう1度-。中田は大幅減額を受け入れた。「結果を残せてないので仕方ないこと。また一から頑張りたいという気持ちになりました」と冷静に前を向いた。

本来の自分を見失った1年だった。昨年まであったはずの冷静さ、自信が消えた。「なぜか失敗を恐れている自分がいた。常に『自分のスイングじゃない』と思いながら打席に立っていた。そう思っている人間が打席に立ったところで結果は出ない」と断じた。スイング1つをとっても、失敗を恐れて萎縮。今季は日本ハム時代と合わせて打率1割7分7厘、7本塁打、20打点。初めて1割台でシーズンを終え、11年ぶりに2桁本塁打に届かなかった。

弱気な自分とは決別する。「良い意味でもっと荒々しく。悔しかったら悔しがっても良いし、うれしかったら喜びを表現しても良い。周りに萎縮せず、余計なことを考えず、自分らしくやっていきたい」。喜怒哀楽、ありのままをさらけ出す。それが本来の姿であり、結果を出し続けてきた姿だった。

後輩の刺激も受けながら、来季を見据える。志願の弟子入りをしてきた秋広に、日本ハム姫野、ソフトバンク黒瀬と1月に沖縄・石垣島で自主トレを行う。5度達成している100打点を目安に、本塁打数も求める。「もう1度、打点王には返り咲きたい。(本塁打も)そこそこ打たないと100打点はなかなかいかない。キャリアハイは打ちたい」と堂々と掲げた。一から出直して、本来の「中田翔」を取り戻す。【小早川宗一郎】

<今季の中田翔>

◆ものもらい 2月の春季キャンプ開始早々、ものもらいに悩まされる。

◆右目負傷 4月7日ソフトバンク戦で3打数無安打。ベンチでバットをへし折り、右目を腫らすアクシデント。

◆マー君打ち 同17日楽天戦。日本復帰戦となった田中将から今季初本塁打。

◆右腰負傷 6月8日阪神戦で一塁を駆け抜けた際に、右腰に違和感。倒れ込んで担架で途中交代。

◆暴力行為 8月エキシビションマッチ中、ベンチ裏で同僚への暴力行為が判明し、1、2軍全試合で出場停止処分となる。

◆移籍 同20日、巨人へ無償トレード移籍が発表され、黒髪でヒゲをそって記者会見に出席。

◆新天地弾 同22日DeNA戦で移籍後初安打となる特大2ラン。

◆長嶋氏指導 9月13日、ジャイアンツ球場での2軍調整中に長嶋終身名誉監督から直接指導を受ける。