野球界の新たな“世代”は何年ほどで出てくるものなのか。新たに侍ジャパンを率いる栗山監督は、就任会見で「日本球界で新たなスター選手が出始めている。変わっていく時期に来ていると感じる」と言っていた。10年間、最前線にいた人物の言葉が示すとおり、若い力が芽吹いている。

私事だが、19年から務めたアマチュア野球専任を離れることになった。星稜・奥川、大船渡・佐々木、苫小牧駒大・伊藤、明大・森下、早大・早川、慶大・柳町、東洋大・佐藤、中大・牧、近大・佐藤輝等々。この3年間、高校・大学の取材現場で会った多くの選手たちは、着実にステップアップしている。新たな世代は3年もあれば出てくると感じる。

ただ、通常の3年とは違うものでもあった。20年からは、アマ球界もコロナに翻弄(ほんろう)された。甲子園やリーグ戦の中止が続いた。再開しても、無観客。多くの大学リーグでは、2戦先勝による勝ち点制に代わる1カード2試合のみの勝率・ポイント制となった。ようやく、正常化の光が見えてはきているが、2022年はアマ球界、特に大学球界にとって伝統継承の大事な年になる。

というのも、新4年生の入学はコロナ前の19年。つまり、新3年生以下はコロナ禍で大学野球をスタートさせており、勝ち点制を体験していない。この冬、慶大は例年以上に走り込み、法大は投げ込みを増やした。来春の勝ち点制復活を信じ、3連戦に耐えられる体力づくりに励んでいる。もちろん、指導者は勝ち点制の戦いを熟知しているが、実際にプレーするのは選手。体験した世代が残る22年のうちに再開できれば、その意味は大きい。

高校生に至っては、既に新3年生はコロナ禍の中、入学した代だ。最初の数カ月は、まともに練習できなかった。伸び盛りの時期に、どういう影響があったのか。花巻東・佐々木をはじめ、全国的に新2年生に注目が集まるが、来春センバツは新3年生にこそ期待したい。【古川真弥】