現役最多の通算442本塁打を放っている西武中村剛也内野手(38)が通算500号へ強いこだわりを示した。11日、埼玉・所沢市内の球団施設で自主トレを公開。プロ21年目となるベテランは、過去に8人しかいない大偉業への思いをストレートに語った。特別なことはしない。淡々と積み重ねを大事に、2000本安打より希少な記録へと挑戦していく。

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中村がつむいだ言葉には希代のアーチストとしての誇り、生きざまが凝縮されていた。同期入団で史上54人目となる2000安打を達成した栗山からは、2000安打にも期待を寄せられていた。残りは356本。その事を聞かれると「2000本ももちろんすごい数字ですけど…」。そして「やっぱり僕は」と続けた。心底にある、こだわりを言葉にした。

「昔からホームランにこだわってきた。あと8本で450本もありますし、やっぱり500本塁打というのを打ちたいという気持ちが強い」

現役最多442本塁打。これまで本塁打王6回、満塁本塁打も歴代最多22本を放ってきた。1644安打のうち、実に4分の1以上をスタンドまで運んできた。1914個の三振の代償を払いながら。プロ20年目の21年は打率2割8分4厘、18本塁打。打率はキャリアハイに2厘差まで迫るなど状況に応じ、コンパクトに振る姿も前より増えた。ただ、やはり本塁打こそ極めてきた道だ。

「いつまでたっても、やっぱりホームランを打ちたい。そこはがっつり意識してやろうかと思います」

淡々と話す男が「がっつり」と言った。強い執着がにじんでいた。

だからといって、特別な事はしない。今年も例年のように所沢で始動した。「少し寒いですけど、立派なトレセンもあるので」。この日は、ダッシュなどで体を動かした後、川野と交代しながら約1時間10分、黙々とマシンを打ち込んだ。「ケガしないようにやりたい」と言う。オフには2年契約を結んだが、いつものように1年1年を大事に考えていく。コツコツと積み重ね、渇望する本塁打の金字塔を目指す。【上田悠太】

◆通算500本塁打 日本ではこれまで8人が達成。最後にマークしたのは清原和博で、巨人時代の05年4月29日、広島4回戦(広島)の8回に広池からバックスクリーンへ放って到達した。達成人数は通算2000安打の54人に比べ、はるかに少ない。日米通算では松井秀喜が507本(日本332、米国175)を記録している。