昨年11月30日、岡山・倉敷市にある「星野仙一記念館」が13年の歴史に幕を下ろした。名選手、名将として球界を歩んだその足跡を、閉館直前に踏み締めた選手がいる。同市出身のロッテ岡大海外野手(30)だ。

「星野さんは僕にとってすごく偉大な方ですし、目標にする方でもある。後輩として最後に見に行けてよかった」。楽天などで監督を務めた星野氏は、18年1月4日に亡くなった。これまでも同記念館を訪れたことは何度かあった。けれど、ゆかりの品々をもう見られなくなると思ったら、もう1度足を運んでいた。

倉敷商-明大と同じ道を歩んできた後輩を、星野氏は気にかけてくれていた。「プロに入ったころはなかなか活躍できなくて、いつも『打ってねえな』みたいな感じで言われてましたね」。オブラートに包まない愛のむち。心に刻んで頑張った。

現役時代のユニホームやグラブから、愛用したタバコまで。記念館には公私にわたる展示品が並んでいた。眺めていて思った。「こうやって多くの方に、そういう品を見に来られる選手はなかなかいない。僕も見に行きたいと思われるような選手になりたい」。

昨季終盤、主に中堅で先発を続け、CS出場を決めるサヨナラ弾など勝負強さを発揮した。「そろそろ、いいところを見せないといけないなと思います」。天国から「よう打ってるな」と言ってもらえるように-。9年目のキャンプインを前に、寒空のZOZOマリンで日々、鍛錬を積んでいる。【鎌田良美】