阪神大山悠輔内野手(27)は南国の地で心を揺さぶられていた。

飛距離の出し方から薬局での購入品まで…。自身の一挙手一投足に目を光らせる小野寺の姿勢に、熱いモノを感じた。

「がむしゃらさ、ですかね。育成から支配下になって『本当に頑張りたいんです』という言葉をずっと聞いていた。がむしゃらさ、泥臭さはチームの誰よりもある。そういうところは自分も忘れてはいけない」

沖縄県内で梅野らとの6時間に及ぶ合同トレを公開後、オンライン取材での言葉は自然と熱を帯びた。

3学年下の後輩は今回が合同トレ初参加。昨年4月に支配下登録され、今季は1軍外野争いに鼻息荒い。そんなガツガツ感を日々体感すれば、初心を思い出すのも必然の流れだった。

昨季は何度も劇的打を決めた一方で、背中の張りにも苦しんだ。沖縄では小野寺が驚くほど「明治プロビオヨーグルトR-1」「ヴァーム」といった健康食品、ストレッチ道具を大量購入。ウエートトレや瞬発系トレなどで体を鍛え抜き、今季こそ是が非でもフル稼働するつもりだ。

秋季練習では本職の三塁、一塁に加え、左翼練習も開始。2月のキャンプでも主砲の立場に甘えない。

「まずは試合に出ること。何があってもいいように準備しないと。グラブは誰よりも持っていくと思います。内野用、外野用、一塁ミット。新しいグラブ、試したいグラブもあるので」

恒例の早出特守はもちろん、22年の対外試合初戦となる2・8日本ハム戦にも「最初からアピールしていかないと」と前向きだ。

昨季はヤクルトにゲーム差なしの2位。22年の大目標と問われると「優勝しかない」と即答し、自身の役割を「キャリアハイは最低ライン」とイメージした。

「去年はあと1歩でしたけど、負けは負け。差は大きかったと感じた。何が足りなかったのか、自分自身もそうだけど、チーム全体として考えていきたい」

過去マックスは20年の打率2割8分8厘、28本塁打、85打点。大山が最高の1年を更新すれば、頂点はグッと近づく。【佐井陽介】

<大山の春季キャンプ>

◆17年 金本監督2年目、初日から新人では異例の30分特打。紅白戦など実戦で16打席連続無安打も終盤に復調したが、開幕1軍はならなかった。

◆18年 キャンプ開始直後は二塁の練習にも本格的に参加。中盤から三塁へと回った。この年初の開幕スタメン。

◆19年 矢野監督1年目、初日からフリー打撃で40本の柵越え。侍ジャパンに選ばれ、3月の強化試合メキシコ戦出場が決まった。

◆20年 一塁ボーアの加入で押し出されたマルテとの三塁争いがぼっ発。実戦で絶不調に陥り、矢野監督から直接指導を受けた。シーズンは28本塁打の活躍。

◆21年 主将として初のキャンプ。中盤から腰背部の張りで別メニューも、2月28日の練習試合ヤクルト戦で実戦復帰し、開幕4番に名を連ねた。