阪神は阪神大震災から27年のこの日、兵庫・西宮市内の鳴尾浜球場での練習前に球団幹部や選手、スタッフ約50人が黙とうをささげた。

谷本修球団副社長(57)は「振り返れば長かったような、あっという間だったような。忘れようにも忘れがたい記憶」と話した。

阪神電鉄本社に勤務していた谷本氏は、震災当日は西宮市内の自宅で被災し自転車で出社した。「自宅は意外と頑丈で助かったが、近所は結構被害が大きかった。尼崎あたりも、ガス漏れのにおいがひどくて、ところどころ隆起したり陥没したりしていました」。被害状況を見た親戚が堺市からバイクで駆け付けたという。「生きていたことをすごく喜んで涙を流してくれた」と振り返った。

震災後に生まれた選手たちも多くなる中、呼び掛けるように続けた。「やはり地域のみなさんに受け入れられてのプロ野球球団。その思いはしっかり持ってプレーしてほしい。佐藤(輝明)君も西宮出身で、そこは強く持ってくれているようなのでうれしく思います。コロナも何とか乗り越えて、社会に元気を与えられるように。あの日を忘れずに」。阪神タイガースも震災の教訓を忘れず、地元球団として使命を継いでいく。【石橋隆雄】