プロ3年目を迎えるロッテ佐々木朗希投手(20)が1日、石垣島キャンプでブルペン入りし、直球のみ31球を投げた。受けた前里ブルペン捕手は出力6~7割と表現しながら「恐ろしいよ」とひと言。開幕ローテ入りへ順調に滑り出した。キャンプ初日のブルペン入りは2年連続ながら、去年とはどこが違うのか。大船渡高時代から取材するロッテ担当記者が、20歳になった剛腕の変化に潜入する。

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「OKです!」

テキパキと11球を投げ、準備完了。佐々木朗が声を掛けると、前里ブルペン捕手が座った。前日1月31日には「例年より仕上げは早いのかなと思います」と言った。手慣れたように、18・44メートルの投球に入った。

たまたま、目の前のマウンドを背番号17が選んだ。ブルペンを囲むネット越しの、5メートルほど前。広い背中に大きな尻。大人びてきた横顔がのぞく。この距離や角度だと、1年前との変化も一目瞭然だった。

19歳の2月1日、スッとプレートに直立した。グラブ位置は顔の前。オーケストラの指揮者のようなたたずまい。そこからテークバックを大きめに、オリックス山本を思わせるフォームにトライ。「答えはないと思います。試合によって、年によって変わると思うので」。進化した肉体に合う投げ方を探求していた。

5月の1軍初登板時は、160キロ台を出した高校時代に近いフォームに戻った。今回は冬をまたいでもフォームのベースは変えず。足を細かく左右に何度か揺らしながら、重心を確認。投球動作への準備を始める。セットポジションの足幅は2足半ほど。1年前は、しっくりこなかったのか何度も左足の踏み位置を置き直していた。この日はこの足幅を1度も調整しなかった。

定まったフォームからの直球はやはりすごい。やや浮きがちながら、前里ブルペン捕手は「恐ろしいよ」と言った。出力は6~7割の印象ながら、体感で150キロ超も何球かあったという。「このままいけば160キロを超えられると思います」と続けた。ラスト5球はクイック投球。実戦対策も少しずつ始める。

開幕ローテ入りを明確に狙うのは、今年が初めてのようなもの。しかしこの若者は迷いを感じさせないほど、強く進む。取材4年目で初めて気付かされることもある。10球目前後から目立ち始めた、リリース直後の「ヨイショー!」「ウイショー!」。緊張の1年目や模索の2年目にはなかった、2月1日の自己表現。時に軽やかに発しながら、いっそうの球威を付加させた。あとどれほどの力を出現させ、ペナントへ臨むのか。主役に躍り出る予感が高まる。【金子真仁】

▽ロッテ井口監督(佐々木朗のブルペン投球について) 1人だけちょっと別格でしたね。他の投手陣も仕上がりは良かったです。