鋼のメンタルを携えた新星が、開幕ローテーション入りへ名乗りを上げた。巨人ドラフト3位の赤星優志投手(22=日大)が27日、DeNAとのオープン戦でプロ初先発。キャンプ中に特訓を積んできた直伝“桑田カーブ”で投球の奥行きを出し、3回無失点3奪三振と好投した。抜群の勝負勘も武器にするルーキー右腕が、大混戦の先発ローテ争いで急浮上した。

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赤星が淡々と、堂々と腕を振った。2回先頭、DeNA牧を追い込んでからの7球目。122キロの緩いカーブで空振り三振。特訓を積んできた“桑田カーブ”で打者のタイミングを狂わせた。3回3安打無失点。「原監督から『今日は勝つこと意識してやろう』という言葉を頂いたので、先発として試合をつくれるように投げ切りました」と役割を全うした。

桑田投手チーフコーチの助言を結果につなげた。「得意ではなかった」という斜め回転のカーブを、縦方向に修正。実際に2人でキャッチボールをして、本物の軌道を体感した。「暴投かと思ったら、グッと曲がってきてすごかった。まだまだ桑田さんのカーブには及ばないので、少しでも近づいていけるように練習したい」と、打者の目線をずらす新たな武器を磨く。

今キャンプ中、原監督からは「遅い球を投げる度胸も必要」と助言を受けた。ポーカーフェース右腕は大きくうなずき、すぐさま実行した。「緊張して寝られないということはない」ほどの強心臓の持ち主。その半面、感情を爆発させた記憶もない。常に淡々と、冷静沈着だった。

試合の流れも冷静に見極めて、勝負どころを逃さない。1回には、素早いけん制とクイックモーションから、大城の二盗阻止をアシストし、2つのアウトを奪った。3回1死一、二塁のピンチでは、落ちる球でゴロを打たせ、遊ゴロ併殺打で無失点。39球で効率的に相手打線の流れを断った。

新人離れした風格のある投球で、開幕ローテ候補に躍り出た。桑田コーチは「(中継ぎと)両方やれるようにはしてます」とリリーフと両刀での起用も示唆するも「自分の中では先発で勝負したい」。泰然自若の新星が、開幕ローテ争いへ、静かに闘志を燃やした。【小早川宗一郎】

▽巨人原監督(赤星について) 余裕が出てきた感じがします。基本的に打者を見ながら投げられる投手だと思うので、経験を積むことによって、かなり視野は広がってきている感じはします。

▽巨人桑田投手チーフコーチ(先発した赤星に) プロ野球のストライクゾーンに慣れてきたというか、さすがですよね。まだ良くなると思う。前回の反省を生かして、テンポ良く投げてくれました。