エースの本能がうずいた。日本ハム戦で今季初実戦に臨んだ巨人菅野智之投手(32)が初回、2者連続安打で1死二、三塁のピンチを招く。打席には育成ルーキーながら4番起用の速水。いきなり迎えた勝負どころに、集中力が高まった。

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外角いっぱいに変化球を続けて3球三振。続く石井には初球にこの日最速149キロを低めぎりぎりに投げて意識付けさせ、続けて同じ高さにフォークを落として引っかけさせた。2回2安打無失点で、お役御免。「ピンチで狙って三振がとれましたし、その後も低めにいいボールを投げてそこから落として、と。あの2打席は収穫」と計算し尽くした投球術を若きBIGBOSS打線に見せつけた。

大黒柱の自負と責任感が、自分への厳しい目へとつながる。1日に5年連続、球団最多8度目の大役を託されたが「投げないという選択肢は自分の中になかった」。25日の中日戦(東京ドーム)で開幕投手を務め、球団最多の5勝目を挙げる自分の姿を疑わずに過ごしてきた。

だからこそ、結果を求めながら1球も無駄にはしない。初実戦では33球中、変化球が24球。相手の直球狙いを察した大城のリードだったが「変化球はよかったんじゃないですか。それだけ投げれば感覚も大体(つかめた)」と現在地を確認。「あとはストレートの精度。平均148キロを超えるぐらいの仕上がりは必要かな」と課題も見いだした。

海外生活の長かった新庄監督は菅野を知らなかった模様で、試合前には「メジャーでもね、通用するという。楽しみですよ。見るのが」と話していた。菅野が「65点ぐらい。初実戦、初試合なので、こんなものかなと」と評した今季初登板だったが、エースのすごみを知らしめるには十分だった。【浜本卓也】

▽巨人原監督(菅野について)「順調に来ているようですね」