日本ハム新庄剛志監督(50)が8日、ロッテとのオープン戦(鎌ケ谷)を“ひらめき采配”で引き分けに持ち込んだ。4点を追う8回、チーム初合流で、入団会見前の新外国人レナート・ヌニエス内野手(27=ブルワーズ3A)を先頭で代打起用。来日初打席での二塁打で起点となって、代打万波中正外野手(21)の3号3ランで追いついた。オープン戦首位からは陥落も、ここ6試合負けなし。新助っ人にBOSS組(2軍)選手たちも躍動し、BIGBOSSもうれしい悲鳴を上げた。

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BIGBOSSも思わずびっくりした。4点差を追いついた8回の攻撃は、先頭で代打起用した新外国人ヌニエスが起点となった。黄色の打撃用手袋を装着した来日初打席で左翼線への二塁打は「ほんとに打ちにいきよった」が、新庄監督の本音。起用の狙いは、日米のストライクゾーンの違いを体感させることだったからだ。

メジャー通算56発の新助っ人は3日に来日。隔離期間を経て、この日から合流した。試合起用の予定はなかったが、新庄監督が「ふっかけたの。ボールだけ見たらって」と出場を提案。「調子はいいので、やります」と即答したヌニエスへのBIGBOSSの指示は「今日は見逃し三振でいいからボールを見なさい」。それが、初打席が近づくと「打ちたそうな顔をしていた」からと、「エブリシング、オーケー!」に一転。ひらめきで縛りを解くと、いきなり二塁打でビッグボスポーズまで披露。チームを勢いづけた。

1死一、三塁として清水の適時二塁打で3点差とし、なお2死二、三塁。新庄監督が「同点を狙いにいく場面」とベンチを見渡すと、黄色の打撃用手袋でバットを持って準備万全の万波がいた。「行けんのか? 行くぞ!」。勢いよく代打に送り出し、同点3号3ラン。「あの場面はやっぱり調子のいい万波君でしょ」と、狙い通りの同点劇を演出した。“幸福の黄色いハンカチ”ならぬ、黄色い打撃用手袋を、偶然につけた2選手の代打起用で負けを消した。

初のサヨナラ勝利はお預けとなったが、この日も最後まで見応え十分の試合で、鎌ケ谷のファンを喜ばせた。ここ6試合負けなしと好調も、新庄監督は「満足はしない。さらに上に行ったろうって思うタイプだから、俺は」。ただ、BOSS組(2軍)から呼んだ木村、松本剛、高浜らも結果を残し、新助っ人もいきなり溶け込むなど、近づく開幕へ選手の躍動が止まらないのも事実。「またさらに迷うという、面白さ」。優勝は目指さないと公言するBIGBOSSが、不敵に笑った。【木下大輔】

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▽日本ハム万波(8回に同点3号3ラン)「(新庄監督の)視界に入るところでずっとちょろちょろしていた。打った瞬間にもう、手応えはありました。(監督から)その前の球、低めをスッと見逃したのがよかったって言ってもらえました」