激震の虎を静める-。阪神藤浪晋太郎投手(27)が18日のオリックス戦(京セラドーム大阪)で開幕前ラストのマウンドに上がる。開幕投手に内定していた青柳晃洋投手(28)が前日16日、新型コロナウイルスの濃厚接触者疑いで、開幕戦となる25日ヤクルト戦の登板断念が決定。矢野阪神が開幕直前に陥ったまさかの緊急事態。代役最有力の背番号19が快投すればチームは落ち着く。

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チームに漂う不安をかき消すのは藤浪の快投しかない。鳴尾浜でキャッチボール、ブルペン投球を行った右腕は静かに闘志を燃やした。「感覚的に自分が納得できるというか、良かったと思えるような登板にできたら。言われたところで投げるしかないので。しっかり自分のいい状態をつくっていければと思います」。チームが直面している状況は百も承知。急きょ、1日前倒しとなった開幕前ラスト試合でも自身の投球に集中する。

緊急事態が公になったのは前夜だった。球団は青柳が新型コロナウイルスの陽性者と濃厚接触の疑いがあるため、自主隔離すると決定。さらにこの日、青柳自身の陽性判定も発表された。開幕投手の離脱を受けて、開幕2戦目となるヤクルト戦で先発が見込まれていた藤浪が「代役」を務めることが確実だ。当初は19日にオープン戦最終登板を迎える予定だったが、18日に変更。3・25の開幕へと向かっていることは明らかだ。

本番に向けて期待も高まる。キャンプでも安定した投球を続け、前回の12日中日戦(甲子園)では、5回無安打無失点、6奪三振の快投を披露。徐々にエンジンをふかす右腕は「開幕に向けて、もちろん気持ちも入ってきます。ですけど、あまり力まないようにというところと、変化球の精度を高めていければと思います」。ハートは熱く頭は冷静だ。

ヤクルトは小川が開幕投手に決まった。開幕投手藤浪となれば、2年連続のマッチアップとなる。前回は両投手に勝ち負けはつかなかったが、試合は阪神が勝利。矢野監督は「開幕で何とかいいスタートを切りたいというのはどっちも思いとしてはある。小川に決まったからどうっていうのはないけど、誰でも倒すという気持ちでいくだけ」と開幕星に力を込める。オープン戦ラスト登板から開幕へ。矢野虎の窮地を救うのは、藤浪の右腕だ。【桝井聡】