ロッテ本前郁也投手(24)が銀色の天井を見上げた。球持ち良く相手を押し込む、フライボール・ピッチャー。

初回、日本ハム打線にも打ち上げさせ、リズムに乗る。「地元で初勝利したいと思います。気合は入ってます」。札幌市出身で育成入団から支配下を勝ち取った左腕。プロ初勝利は1年前に済ませたが、郷里での白星へ思いは強い。

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北海道ご当地飲料のガラナが好きで、ファイターズのファンクラブに入る小学2年生だった。06年6月6日も、阪神戦の応援に左翼席上段に陣取った。ユニホームの背ネームは自分のもの。胸が躍る試合前、急に場内が真っ暗になった。天井の一部分に当たるスポットライト。「すごく間近に見えて。あそこから下りてくるんだな、って」。奇想天外な新庄剛志選手が、天井に姿を見せた。

輝くスター。当時は観衆4万3473人の1人に過ぎなかった小さな少年が、大きくなり、BIGBOSSを背に投げる。日本ハムとの初対戦は昨年のオープン戦。当時は「変な気持ちです」と率直な心境を口にしたが、もうそんな感情もない。巡ってきたチャンスを生かすだけ。

だからこそフライまでで止めたかった。3回、野村に先制ソロを浴びた。チーム今季10試合目で初の被本塁打。4回の清宮のソロも含め決して甘い球ではなかったが、それが致命傷になりうるのもプロ。5回2失点で降板。「打たれた本塁打には悔いが残ります」。次こそ笑顔で上を向く。

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