巨人のドラフト1位大勢投手(22)が10セーブ目を挙げ、球団初となる新人2ケタセーブを達成した。

首位攻防の広島3連戦初戦で2点リードの9回に登板。3人で締めた。21試合目でのシーズン10セーブ到達は08年に藤川(阪神)が記録した19試合目に次ぐ、史上2位タイ。球団では13年の西村健太朗の23試合目を抜いて最速となり、4戦ぶりに首位浮上となった試合をきっちりと締めくくった。

【写真たっぷりライブ速報】セ首位攻防戦 巨人―広島

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記録ずくめの10セーブ目も、大勢には普段の風景に見えた。広島の5、6、7番を全て150キロ超の直球で内野ゴロに仕留め、何事もなかったように首位浮上を決めたマウンドから静かに降りた。

「思ったより体がキレてなかったので低めに投げ、ゴロでアウトを取るイメージだった」と計算ずくの投球だった。前夜はルーティンのウエートトレーニングを午後9時前から就寝直前の同10時30分ごろまで行った。ここまで遅い時間は今季初めて。わずかだが、その影響が体に残ったため投球を工夫した。「(トレーニングの)タイミングが悪かった。今後の良い情報となった」と、また1つ、プロ人生の経験を積んだ。

新人ながら巨人の守護神を担う。重圧がかかり続ける中で11試合目の登板も「体力面も、心配してもらっている肘の状態も全然大丈夫」と、不安はみじんも感じさせなかった。それどころか10セーブ到達が史上2番目のスピードと知ると「一番早くになりたかった。2番と言われたらちょっと悔しい」と、根っからの負けず嫌いが顔を出した。

野球の原点とも言える幼稚園年長時から、片りんはあった。丸めた新聞紙を粘着テープで補強したボールと、紙の筒に新聞紙を詰めたバットで、園児10人と担任の藤田貴久さん(40)が野球をするのが日課。プールと園舎の間にある小さなスペースが彼らの「球場」だった。大勢は大人が三振するほどの速球を投げ込んだ。打たれても「もう1回勝負!」とその場を動かない。打てば5メートル先の壁を越え、裏山にホームラン。藤田さんが打たれまいと時折投じたカーブには「それ投げたら打たれへんからアカン!」と闘志をむき出しにした。

9回のマウンドは確固たる自分の居場所になった。球団新人初&最速のセーブ記録にも「うれしいが目指すは日本一。その戦力になるため、結果を残し続けていきたい」と先を見据える。底知れぬ新守護神にとって、10セーブは通過点に過ぎない。【三須一紀】