8回表、西武辻監督は投手交代を告げた。新外国人バーチ・スミス投手(32)が来日初登板で、7回まで無安打投球を披露。

出した走者は4回福田秀への四球のみで、1本のヒットも許さなかった。それでも継投を選択。豊田投手コーチと話し、交代を決めた指揮官は「もうだめでしょう。あの球を見てたら。『あれが精いっぱい』という話」と、序盤に比べ球威の落ちた状態を見極めた。

ベールに包まれていた新助っ人は初回から本領発揮した。先頭高部を、追い込んでから152キロ直球で空振り三振。2番福田秀は初球ナックルカーブでタイミングを外し、左飛に打ち取った。3番中村奨はこの日最速の155キロで空振り三振に仕留めた。ほぼこの2球種で快投を演じ「本当はもう少し投げられたらよかったけど、少し疲れも出てきて、監督からここまでで大丈夫、ということを言われたので」。2巡目以降は直球が140キロ台後半に。自身も納得の交代だった。

メジャー5球団を渡り歩いた苦労人。15年に右肘靱帯(じんたい)再建手術を受け、4年間メジャーの舞台から遠ざかった。そんなブランクをへて復活を遂げただけに「フィールドでプレーできることにすごく情熱を持っている」と自己分析する。熱いハートを持ちながら、唯一出した走者もけん制で仕留める器用さもみせた。

2日前、ロッテ佐々木朗が8回パーフェクト投球で降板し話題になった。辻監督監督の念頭には一切なく、迷いもなかった。「それは全然。7回のあの球見たら、しんどいなというところです」。5回をメドに託した先発マウンド。7回96球で打者21人、“準完全”で初登板初勝利を挙げた。チームの連敗を2でストップする満点回答。令和の怪物に負けじと、次回登板も0を刻む。【栗田成芳】

◆バーチ・スミス 1990年4月12日、米国テキサス州生まれ。11年ドラフト14巡目でパドレスから指名され契約。レイズ傘下、メッツ、ロイヤルズ、ブルワーズ、ジャイアンツ、アスレチックスでプレー。メジャー通算102試合で5勝11敗1セーブ、防御率6・03。今年1月に西武入り。193センチ、102キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸6500万円。