阪神西純矢投手(20)の恩師で、創志学園(岡山)の長沢宏行監督(69)が高卒3年目の飛躍を目指す教え子との秘話を明かした。昨年は同世代のオリックス宮城が新人王を獲得し、ヤクルト奥川が日本一に貢献。今季は佐々木朗が完全試合達成の快挙を成し遂げた。今季初登板を前に、西純にこんな激励メールを送っていた。「花には咲く時期がある。西の咲く時期はこれからじゃないか」。阪神のドラフト1位として重圧を背負う右腕をおもんぱかった。「ほかの3人はスーパースター。ウサギとカメじゃないけど、咲く時期があると思う」と、ここから大きな花を咲かせればいいと話す。

高校1年の時、父雅和さんが45歳の若さで亡くなった。生前、ナインとバス2台で広島まで、病床の雅和さんをお見舞いした。「全員でお父さんの手を握りました。私はお父さんに『必ずプロで活躍させます』と伝えました」。数日後、息を引き取った。西純は葬儀を終えると、仲間が待つ寮に戻ってきた。すぐにランニングを開始したという。

約束通り、送り出したプロで西純は成長した。この日は春季岡山県大会に出場したため、動画で投球を確認。高校時代に帽子を飛ばした姿は消えていた。「結構、いい投げ方になっていた。(2軍投手コーチの)安藤さんのおかげです。今日は頭がブレてなくて投げ方が安定している証拠。肘も上がっている」。その姿に今後の活躍を確信した。

長沢監督は今夏限りで退任する。西純には、メールで直接伝えた。「夏の甲子園で頑張ってください」と返信が来た。恩師のためにも、今年、大きな花を咲かせる。

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