ゼロ行進が続いていた阪神の嫌な流れを佐藤輝明内野手(23)が断ち切った。3回1死一、二塁からヤクルト高梨の高め直球を中前へ。1点差に迫る反撃の一打が、21イニングぶり、ホームのヤクルト戦では44イニングぶりの得点を刻んだ。この3連戦でようやくの得点にスタンドに詰めかけたこどもたちも大喜び。「めちゃめちゃ盛り上がったんで、すごくうれしいです」と、その姿を見て、喜んだ。

コロナ禍もあり、プロ2年目のこの3連戦でようやく満員の甲子園を体験。「すごい力になりました」。連敗中は無安打で期待に応えられず、悔しさでバットを地面にたたきつけようとする場面もあった。グッとこらえ、気持ちを切り替え、日々の戦いに向かった。

こどものころはレゴブロックが大好きだった。「小学生くらいまで好きで、1回完成させて、(その後は)自分で考えたやつをたくさんつくっていました」。もともと手先が器用。説明書通りではなく自由な発想でつくっていたことが、今の打撃の応用力にもつながっているのかもしれない。

7回の右前打と合わせて今季10度目のマルチ安打。こどもたちが憧れる特大アーチはなかったが、「ゴールデンウイークこどもまつり」の最終日に白星をプレゼントできた。小学6年の弟がいることもあり、こどもが大好きだ。サヨナラ勝利後もベンチ前で、客席のこどもたちに笑顔で手を振った。野球少年たちには「一番は楽しく。怒られることを気にせず楽しくやってほしい。(ボールを遠く飛ばすには)ご飯をいっぱい食べて」とアドバイスした。これからも打ち続けて、子どもたちのヒーローであり続ける。【石橋隆雄】

 

○…阪神中野が親孝行の2安打だ。今回の3連戦は両親が山形から来場していた。3回、5回とともに1番近本との連打で得点につなげ、9回はサヨナラにつながる犠打。「自分のやるべきことは、どの打順でも後ろにつなぐこと。なんとか1つ勝てたので、喜んで帰ってもらえると思う」。打率2割9分2厘に上げ、3割も見えてきた。

○…阪神は5回の同点シーンも押し出しだった。2死満塁でロハスが、カウント3-1から石山の低め150キロを冷静に見送った。9試合ぶりに5番に座った助っ人は「あの場面はどんな形でも点を取りたかった。すごく集中力を高めていた。状態は悪くない。試合に出たら結果を出せるよう、準備だけは怠らないようにしたい」と胸を張った。

○…阪神右翼・島田が美技で流れを渡さなかった。8回、先頭青木の右翼線寄りの鋭い打球を走りながら好捕。勢いのまま頭から滑り込んだ。マウンドの湯浅は両手で拍手し感謝。矢野監督は「球際で、しっかりしぶとく捕ってくれた。先頭だったので、あれを捕ってくれたのは大きかった」と絶賛だった。今季3度目のスタメンは無安打だったが、守りで貢献した。

○…阪神先発ガンケルも粘った。初回は先頭を中野の失策で出し、先制点を与える苦しい立ち上がり。それでもスライダーを軸に5回2失点(自責1)でまとめた。2勝目はならなかったが「相手の高梨投手も非常に粘り強い投球をしていた中でチームが(5回に)同点にしてくれたし、いい流れでバトンを渡せてよかったよ」と納得の表情だった。

阪神ニュース一覧>>