悩める4番が、勝利を決定付けた。楽天島内宏明外野手(32)が、2安打2打点で球団記録更新の9連勝に貢献した。打点王に輝いた昨季に続き、今季もここまで全試合4番に座り、打率2割6分1厘、1本塁打、15打点。それでも笑顔はまったくない。“島内語録”で話題のタイムリー談話では「本当にすみません」と謝罪。好調のチームとは正反対の言葉のわけとは一体…。

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表情を一切変えなかった。2点リードの7回無死二、三塁。1ストライクから、小木田の内角高め直球を力強く振り抜いた。右翼線に弾む2点適時二塁打。塁上では控えめに右手を掲げたが、笑顔は全くなく「特に何もないです。正直きついです」と言った。

5回1死一、二塁で迎えた第3打席。外角スライダーに泳がされての投ゴロ併殺打に倒れた。これで今季の併殺打は10。リーグ唯一人2ケタのワーストの数字で「自分が試合に出ていることがすみませんですね」とネガティブな気持ちが止まらない。そんな4番を仲間たちがカバー。この日は今季初の先発全員安打の快勝で9連勝を決めた。が、島内は「自分がいなければ20連勝ですね」とポツリ。自虐節が続いた。

それでも、石井GM兼監督からは不動の4番として絶対的な信頼を寄せられる。4月30日には通算1000試合出場を達成。指揮官から「体のどこかが悪いとかは絶対あったりはするが、彼はそれがありながらも、試合の中でしっかりとプレーできたり、いろんなことをこなせる能力が高い。やっぱり毎試合名前があるというのはすごいと思う」とねぎらわれた。チームやファンの期待に応え続けてきたからこそ、島内は今の自身に満足できないのかもしれない。

4日の日本ハム戦では2点二塁打を放ち、「打ったのはフォーク。歯医者に行きたいんですけどね。連休でなかなか行けなくて。そこが悔しいです。以上です」とコメント。歯の痛みは今も続き「仙台で治療します」。歯の痛みから解き放たれれば…。気分が少し晴れるかもしれない。笑顔でグラウンドで躍動する姿と、元気で明るいコメントを、みんなが待っている。【湯本勝大】

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