ソフトバンクの3年目左腕、大関友久投手(24)がプロ初完投を完封勝利で飾った。最速150キロの直球に今季から本格的に挑戦するフォークがさえ、ロッテ打線を散発3安打に抑え、自己最多6三振を奪った。昨年5月に支配下契約され、今年3月にプロ初勝利を挙げ、これが3勝目。チームの完投一番乗りで、開幕8連勝以来、今季2度目の5連勝に導いた。

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キャリア最多の116球目を投じても、大関の表情は崩れなかった。最終打者山口の一飛を、リチャードがランニングキャッチ。初完封の瞬間は両手を上げるだけで、笑顔は抑えた。「最後の回は完封を狙いにいった。(野手が)捕ってくれてありがとうという感じ。うれしかったっす」。春季キャンプで淡々と170球超を投げ込んだように、試合後もトレードマークのポーカーフェースを貫いた。

威力ある直球は最速150キロをマーク。立ち上がりで、先頭高部のバットをへし折った。今季から本格的に挑戦するフォークにスライダーも織り交ぜた。得点圏に走者を置いたのは初回だけ。「フォークを中心に攻められた」と3回から8回は完全投球だった。3月31日にプロ初勝利を挙げた同じZOZOマリンで、ロッテ打線をわずか3安打に抑え込んだ。

育成だった1年目から猪突(ちょとつ)猛進型。2軍で定められた練習メニューを終えると、1人で黙々とおかわりした。チームメートとの交流も少なく、当時の倉野2軍投手コーチは「自分の練習をするのはいいけど、敵を作っても仕方がない。(チームに)合わせるところは合わせようよ」と苦笑いしていた。わが道を進み続け、昨年5月に支配下契約。3年にわたる取り組みが1つ報われた。

名前は大相撲の番付にもある「大関」。支配下契約の会見では「自分は小結くらい」と言っていた。この日の快投で気になる“昇進”を聞かれた藤本監督は「100点満点」と褒めつつ、「前頭3枚目くらいかな」。大関より5つ下の格付けで、冗談交じりにハッパを掛けた。今季中の横綱昇進へ、大関の成長が楽しみだ。【只松憲】

◆大関友久(おおぜき・ともひさ)1997年(平9)12月14日生まれ。茨城県土浦市出身。土浦湖北では1年秋からエースも甲子園出場なし。仙台大から19年育成ドラフト2位でソフトバンク入り。昨年5月に支配下登録され、6月4日阪神戦でデビューし、救援で12試合に登板。今年は開幕ローテ入りし3月31日ロッテ戦でプロ初先発初勝利。今季推定年俸1100万円。背番号42。185センチ、94キロ。左投げ左打ち。

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