負けない楽天の快進撃が止まらない。延長10回、4番島内宏明外野手(32)が右翼席へ2号決勝ソロを放ち、球団初の10連勝を決めた。6日に球団史上最長の8連勝を記録し、そのまま連勝を伸ばし続ける。ネガティブなコメントでファンをざわつかせた主砲も復活。最高の雰囲気で本拠地仙台に帰り、10日からのロッテ3連戦に備える。

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笑顔が戻った。島内は、延長10回2死走者なしで、虎視眈々(たんたん)と狙っていた。「正直1発ほしいなと思って」。初球、黒木の高め直球をフルスイング。打球を右翼席へ突き刺した。表情を変えずにダイヤモンドを1周。ベンチ前で仲間たちとハイタッチすると、口元が緩んだ。

ふがいなさに気分が沈み込んだ。得点圏打率は2割5分。10併殺打はリーグ2位に5本差をつけてワースト。捉えた打球が野手の正面を突くことも多かった。満足できない成績。それでも4番に座り続けることにもどかしさを感じた。前日7日は2打点の活躍も「自分が試合に出ていることがすみません。自分がいなければ20連勝ですね」と自虐節が止まらなかった。ようやく放てた“勝利の一打”。「結構ガチで思っているので」と話しながらも、表情がほころんだ。

独特な言い回しが注目される島内語録も復活。母の日のプレゼントを聞かれると「現金を贈りたいと思います」。どんなお母さんかの質問には「小心者だと思います」。昨年に続き、母の日に2年連続のV打。“らしさ”が戻り、球団スタッフと報道陣の笑いを誘った。主砲に勢いが出れば、チームも活気づく。

ここ数日間は歯の痛みにも悩まされていたが、大型連休のため歯科医に行けず。オフの9日にようやく治療ができる。野球と体、両方の悩みから解放される。「明日は気分転換で酵素風呂に入りに行きます。歯医者も行きますよ」とやる気満々。リフレッシュして、新たな戦いに挑む。

そんな4番の苦悩に石井GM兼監督は「いい意味でなんとも思ってなかったです。いろんな状況が1年間ある」と絶大な信頼を置く。みんなで粘って、つないで勝ち取った10連勝。その数字をさらに伸ばすべく-。打線の中心にノリノリになった島内が加わる。【湯本勝大】

▽楽天則本(先発して7回3安打1失点)「制球が良くなくて、ボール先行のピッチングでしたけど、なんとか耐えたかなと思います」

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