高卒2年目の巨人中山礼都(らいと)内野手(20)が、プロ初打点で投手戦に終止符を打った。同点の7回1死二塁、広島九里から中前にプロ初適時打。負傷離脱している主将の坂本の後継者に期待される若武者が、決勝打で最高のアピールを決めた。新星の登場にエース菅野智之投手(32)がリーグトップタイの5勝目で球団では上原浩治に並ぶ通算112勝目。投打の歯車がかみ合い始め、同一カード3連勝で、首位ヤクルトとゲーム差なしの2位をキープした。

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若々しいフレッシュな笑顔が輝いた。同点の7回1死二塁、フルカウント。中山が広島九里の低めのチェンジアップに食らいついた。「持ち味は三振をしない、どんな球でもついていって、よければヒットにすること。それを出せたかなと思います」と体勢を崩しながらも中前にはじき返した。野間がファンブルしている間にスライディングで土だらけになりながら二塁を陥れた。右拳を握ってガッツポーズ。「ものすごくうれしかった。素直に気持ちを表現しました」と感情を爆発させた。

同じ中京大中京(愛知)で二塁手を務めた父慎也さん(47)と二人三脚で夢舞台までたどり着いた。高橋由伸やイチローら名右翼手にちなんで「礼都(らいと)」と名付けられた。元々庭だった自宅の1階につくられた打撃場で4種類のティー打撃。道路では走る車と競走しながらのランニング。圧倒的な努力が、現在のミート力の礎になった。

“三振しない伝説”がある。中京大中京の3年時には公式戦で三振0という逸話。「そうだったと思います」と記憶をたどる。慎也さんと中山が小学生時代に所属した高蔵アローズの監督を務めた清水一司氏(73)は「私の記憶では三振は1回もないね。父も礼都も。ただ礼都はお父さんとは違って、流せるんだよね。打撃はやっぱり抜けてたね」と半世紀近い指導者人生でも抜群だった。

プロ入り2年目にして、主将坂本と、自主トレをともにした師匠吉川の離脱でチャンスが巡ってきた。「もちろん勇人さんが帰ってきてからもずっと試合に出続けたい思いはありますし、それは今の結果とか姿勢次第だと思う」と冷静に見据えた。

幼少期から巨人ファン。筆箱から水筒と、巨人グッズであふれていた野球少年が、不動の坂本がいる遊撃手では9試合連続スタメンで勝ち取った初のお立ち台で言った。「これからも若々しく、全力でやるのでよろしくお願いします!」。まだこの場所は、譲りたくない。【小早川宗一郎】

▼高卒2年目の中山が7回に決勝打を放ち、プロ初打点をマーク。巨人で高卒2年目以内の野手でV打を記録したのは07、08年坂本以来、14年ぶり。坂本は高卒1年目の07年9月6日中日戦でプロ初安打、初打点が決勝打となり、07年に1度、08年に3度と、2年目までにV打を4度記録した。ちなみに、岡本和は高卒1年目の15年に本塁打を記録したが、初V打は4年目の18年4月1日阪神戦だった。

◆中山礼都(なかやま・らいと)2002年(平14)4月12日、愛知県生まれ。中京大中京では1年夏からベンチ入り。2年秋に明治神宮大会で優勝。20年ドラフト3位で巨人入団。1年目の昨季は2軍で44試合に出場し、51安打、0本塁打、12打点、4盗塁、打率3割9厘。今年5月3日広島戦で1軍デビュー。今季推定年俸610万円。182センチ、82キロ。右投げ左打ち。

 

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