「大阪タイガース」が62年ぶりに勝った! 球団草創期の復刻ユニホームで今季4戦全敗だった阪神が、5度目の正直で伝統の一戦を制した。初回速攻の起点は1番近本光司外野手(27)と3番ジェフリー・マルテ内野手(30)。近本が2安打2盗塁、マルテが初の猛打賞と、不振コンビが猛虎復活を体現した。「OSAKA」の戦闘服で勝つのは1960年(昭35)以来。22日も痛快G倒を決め、24日の楽天戦で始まる交流戦に弾みをつけたい。

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クラシックな「OSAKA」のロゴを胸に、鮮やかな先制攻撃を決めた。打線を引っ張ったのは1番近本だ。シューメーカーをとらえ、20打席ぶり安打を中前運ぶと、2番中野の5球目に二盗に成功。1死二塁のチャンスをつくり、3番マルテの中前適時打で先制のホームを踏んだ。「先制につながるプレーができてよかった」と会心だった。

前日まで今季ワーストの19打席無安打で、チームはこの間1勝3敗。近本に元気がなければ打線も勢いづかない。だが焦りは見せず、試合前は打撃投手にスローボールを投げてもらい、引きつけて打つ練習を繰り返すなど、昨季最多安打を獲得したルーティンを変えなかった。自分を信じて時を待ち、快音を響かせた。

7回にも5試合ぶりのマルチ安打を右前に運び、中野の3球目に二盗。今季初の2盗塁で、中野に並ぶリーグ2位の8個目を決めた。「思い切ってスタートを切れたことはよかった」。これでプロ通算99盗塁。球団14人目の大台に王手だ。

矢野監督も打って走って復調した背番号5に目尻を下げた。「やっぱりウチの野球は近本にかかる比重というか、ポイントになる選手。どんどん出て走ってもらいたい」。近本も「どんどん走れたら走っていかないとチームの勢いもつかない。そういう場面がきたら積極的に走っていきたい」とさらなる加速を誓った。

猛虎の先人に捧げる白星でもあった。86年ぶりに復刻された「大阪タイガース」時代のユニホームで巨人に4戦全敗。藤村富美男、景浦将、若林忠らの大先輩たちが、闘志むき出して戦った永遠のライバル相手に、ふがいない戦いが続いていた。もうこれ以上、悲しませるわけにはいかない。近本は「OSAKA」の戦闘服をまとった5試合で4度目のマルチ安打。1点差に迫られた9回2死満塁も岩崎がしのぎ、総力を結集して「大阪タイガース」62年ぶりの勝利をつかんだ。

矢野監督は「いろんな先輩方がいて、球団が長い間、ファンのみなさんといろいろ関わって伝統ができて、その中でタイガースのユニホームを着させてもらっている」とあらためて感謝した。22日は交流戦前ラストゲーム。大阪タイガース魂で巨人を連倒して、勢いをつけたい。【石橋隆雄】

▼阪神が苦手の1点差ゲームをものにした。14敗(6勝)は12球団断トツで、今季29敗のほぼ半分を占める。ほかにセ・リーグで1点差試合に弱いのは5位DeNAの6勝7敗だけ。首位ヤクルトの8勝4敗をはじめ上位4チームは全て勝ち越している。阪神の浮上には1点差ゲームを取っていくことが求められそうだ。

○…阪神3番マルテも復調だ。1回の先制適時打をはじめ3回、8回と3本ともすべて中前へ。今季初の猛打賞で打率を2割台に上げた。「(センター返しは)間違いなく意識してやっていかないといけない。その方向に打っていることが結果につながった」と近本同様にルーティンを変えず、自分を信じて結果につなげた。矢野監督は「まだまだ物足りないけど走者をかえす、一番本人も目指しているところをもっとやってくれると思う」と期待した。

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