明大が延長サヨナラ勝ちで立大との天王山を制し、6季ぶり41回目の優勝に輝いた。0-0のまま迎えた11回1死満塁、蓑尾海斗捕手(4年=日南学園)が右犠飛で決勝点を挙げた。全5カードで勝ち点を挙げる完全優勝を達成。コーチを経て20年から就任した田中武宏監督(61)は初優勝で、神宮の青空に舞った。全日本大学選手権(6月6日開幕、神宮ほか)に出場する。

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感謝を込めて、村松開人主将(4年=静岡)はスタンドに向かってこぶしを突き上げた。全員でつかんだ完全優勝。「4年生を中心に改革をしてきて、メンバーもメンバー外にも感謝の気持ちです」とすがすがしい表情だった。

0-0で迎えた延長11回1死満塁、打席に向かう蓑尾は、応援スタンドが目に入った。初球を狙い打ち、右犠飛で10個並べた0に終止符を打った。「何がなんでも初球に食らいつこうと。(応援に)応えないといけないと思った」。チームメートにもみくちゃにされ、笑顔を見せた。

伝統の“人間力野球”を令和版にアップデートした。4年生で話し合い「練習時の道具の出し入れを、4年生にやらせてください」と田中監督に進言した。村松は「お互いを尊敬しあう。いいところを尊重する」と主将に就任してから、1度も後輩を怒っていない。下級生も伸び伸びプレーできる環境をつくった。

チームの「主将のために」という思いも届いた。村松は2月に右膝半月板損傷でクリーニング手術を受けた。全治3カ月。監督が「彼なしのリーグ戦は考えられなかった」と言うほどの衝撃だった。それでも、ベンチで明るい声を出してチームを鼓舞。「みんながプレーで気持ちを見せてくれている」と感じた。

次は、全日本大学選手権。前回出場した19年は日本一に輝いた。今春は代打で3試合出場だったが、走攻守3拍子そろった今秋ドラフト候補の村松は「リーグ優勝はまだ通過点。日々成長して、絶対に日本一をとりたい」。試合を重ねて、もっと強くなる。【保坂恭子】

▽明大・蒔田稔投手(中1日での先発で10回無失点)「今日勝たないとダメだと思っていた。(11回は)蓑尾さんが決めてくれると信じていたので想定内です」

▽明大・上田希由翔内野手(主に4番で打線をけん引)「(首位打者の)宗山が目の前で打つので、頑張らないといけないと思っていた。つなぐ気持ちで打席に入っていた」