ロッテ小島和哉投手(25)の141回の拍手は届かなかった。

今季8度の先発で白星に恵まれず、9度目のこの日は6回1失点。「あまり内容的に良くなかったところを(捕手の佐藤)都志也に強気に引っ張ってもらいました。野手の皆さんにもたくさん助けてもらった」と感謝し「このままチームが勝つように全力で応援します」と、救援陣に試合終盤を託した。

7回裏、三塁側ベンチの隅で正座の姿勢で見守った。2番手東條が本塁打を浴びた。7回手をたたいて鼓舞した。1球ごとに5回、6回と拍手を重ねる。7回裏だけで52回拍手し、ベンチ前で東條を迎えた。

8回裏、ブルペンからマウンドへ駆ける3番手ゲレーロへ、拍手を6回した。イニングが始まり、隣に捕手の佐藤都が来た。何かを言う佐藤都の背中をたたく。ゲレーロがヤクルト村上を三振にした。縦振りの大きな拍手を4回。「強気に攻めろ」と書いてある帽子のつば裏を、ベンチでも見る。しかし逆転された。小島はしばらく固まった。

5失点。長いイニングが終わった。ベンチ最前列で仲間たちを迎えた。ここだけで25回の拍手をし、8回裏の拍手は83回になった。9回表の攻撃も入れれば、拍手は141回に及んだ。

5月上旬、こんなことを話していた。

「ここで頑張っていけば後々今度は、今は野手があんまり打ててない時もありますけど、結局僕も打たれた時に助けてもらった試合も去年もたくさんあったので。チームスポーツでもありますし、お互いがうまく助け合っていければ、という感じで僕は思っているので」

この日も初回、三塁安田と捕手佐藤都がファウルフライを懸命に追い、ピンチをしのいだ。小島はガッツポーズをせず、丁寧にキャッチャーミットとマスクを拾った。5回のピンチも捕邪飛で終了。また足早に、キャッチャーマスクを拾いに行った。やるべきことをやって待つ1勝目。今度こそ。10度目のマウンドへ準備する。【金子真仁】