BIGBOSS返しだ。阪神矢野燿大監督(53)が執念の采配で、日本ハム新庄監督との公式戦初対決を制した。「いやぁ、興奮してます。全員ヒーローの野球ができた」。2点を追う8回、一気に4点を奪い逆転。大山のこの日3本目となる12号ソロで1点差。さらに1死満塁から代打山本の右前適時打で最大6点差を追いついた。

続く島田の打席では、満塁の1ボールからの2球目にスクイズを仕掛けた。「それが点を取る一番かなと。思い切っていくしかない」。ファウルになったが、序盤に新庄監督が仕掛けた満塁でのスクイズ、エンドランに対抗。左腕堀にプレッシャーを与え、押し出し四球で勝ち越し。さらに近本の適時打で突き放した。

セパの最下位対決だが、この日は今季最多4万2574人のファンが甲子園を埋め尽くした。16年ぶりに帰ってきた新庄監督人気も大きかった。「これだけ人を集めることができる監督。このタイガースでスタートして、プロ野球人生の多くをこの球場で歩んだ選手なので。一緒に戦った同僚でもあるんで」。敵ながら敬意を表し、試合前のメンバー表交換時には「お互い楽しく」と声をかけた。

「新庄監督しかできない変革を、選手も理解し始めているような感じは見えた。自分の野球はこうなんだという中心があるから、いろいろできるんだと思う」。キャンプでの練習試合から新庄色が確実に根付いていることを肌で感じた。今季限りで退任を発表している矢野監督と新庄監督の対戦はあと2試合。この日のように、語り継がれる激戦にする。【石橋隆雄】

【関連記事】阪神ニュース一覧>>