オリックス山本由伸投手(23)がロッテ戦(ZOZOマリン)で8回105球4安打無失点の好投で、リーグトップの8勝目を手にした。18日の西武戦(ベルーナドーム)でプロ野球史上86人目(97度目)となるノーヒットノーランを達成。今季ノーノーを達成したロッテ佐々木朗、ソフトバンク東浜、DeNA今永は次回先発で白星ならず。山本が自然体を貫いた快投で、エースの貫禄を見せた。

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涼しげに快投を続けた。「あ、見たっすよ、日刊の記事。嫌なこと書いてんなぁって(笑い)」。この日の試合前に目にしたのは、「今季ノーノーを達成した3投手は次回先発で勝ち星ならず」の文字。だが山本は8回無失点でリーグトップの8勝目。防御率1・42も同僚の山岡を抜いてトップに躍り出た。白い歯を見せるほど、心に余裕があった。

平常心で呪縛を解いた。最大風速14メートルのマリンの風にも「風をちょっと気にし過ぎていた。途中からしっかり投げ込んでよくなりました」と修正した。最速156キロを計測し、9奪三振。「ノーヒットノーランできたけど、気持ちは何も変わらない」と自然体を貫いた。

8回105球。ノーノーの次回登板で完封勝利なら、2リーグ制後初だった。完封が見えていたものの「高山(投手)コーチが『どうしてもと言うなら行かせるけど』って感じだった。『お任せします』と言いました」。残り72試合あるシーズンを見越して、中嶋監督は救援陣にバトンを託した。阿部、平野佳が9回を無失点に封じ、チームは球団最長タイ(9度目)の3試合連続完封勝利。4連勝で借金1と、息を吹き返してきた。

2戦17イニング連続無失点の山本の投球に中嶋監督は「(若月と)意図してること、2人で考えてることがつながっている。一致している」とバッテリーに太鼓判を押した。

取材対応中、シーズン序盤によくコンビを組んだ捕手の伏見が背後を通り「由伸、俺のアドバイス効いたなぁ!」と愛あるイジりを入れると「ははは!この感覚や、これだ!と思い切りました」と応じた。気温32度。暑い幕張で、さわやかな笑顔が輝いた。【真柴健】

▼18日西武戦でノーヒットノーランを達成したオリックス山本由伸が、次の登板でも勝利。今季のノーヒットノーラン達成投手(完全試合を含む)は快挙の次の登板で佐々木朗(ロッテ)東浜(ソフトバンク)が勝敗なし、今永(DeNA)が敗戦投手になっており、勝ったのは山本だけ。なお、完全試合を含むノーヒットノーランを達成した次の試合でも完封した投手は、1リーグ時代の48年真田重蔵(大陽)が最後。完封なら2リーグ制後初となっていただけに、8回105球での降板は惜しかった。

 

○…若月が自身6打席連続ヒットで打率を急上昇させた。打率1割1分8厘で迎えた22日ソフトバンク戦(京セラドーム大阪)で今季初の3安打猛打賞を記録すると、この日も3安打を放ち、打率を2割5分とした。中嶋監督は「ふっ(笑い)。それは、まぁ置いときましょう」と上機嫌だった。

○…選手会長の吉田正が試合を決定づける6号ソロを放った。3点リードの7回に、2戦連発となる放物線を右翼席に描いた。「しっかりと強く、いいスイングができました。ホームラン(ゾーン)まで届いてくれてよかったです!」とゆっくりとダイヤモンドをまわった。

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