冷えていた「山賊打線」が、本来の破壊力を取り戻してきた。西武が楽天に3連勝し、首位ソフトバンクに1ゲーム差に迫った。1回に外崎修汰内野手(29)が5号2ラン、5回に山川穂高内野手(30)が27号2ランを放つなど、5回までに6得点。ここまで投手力が光っていたが、打線も3戦連続の2ケタ安打と調子を爆上げしている。首位と最大8・5あったゲーム差は、いよいよ1。奪首がグッと見えてきた。

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試合前までチーム打率2割2分6厘。本来の破壊力が影を潜めていた西武の「山賊打線」に、復調気配が漂ってきた。1番長谷川から5番外崎までの5人で2本塁打を含む9安打の6打点。辻監督は「いかに山川の前にランナーを置くか。山川が勝負をされないこともあるから、後ろのバッターも大事になる。そういう意味でもうまくいっている」。2ケタ安打は3戦連続、ここ6戦では5度。リーグ2冠の4番を軸とした打線のつながりに目を細めた。

山賊たちは初回から暴れた。2死走者なしから3番森が四球。4番に回し、山川が三塁手強襲の先制の適時二塁打。これで終わらない。外崎が5号2ランで続き、いきなり3点を奪い取った。指揮官も「まさか3点入るとは思わなかった」という攻撃。重要視する山川の“後ろ“で、立ち上がりにたたみかけた。2回2死一塁ではプロ初の1番起用の長谷川が二塁打でつなぎ、2番源田が左前適時打。効果的に得点を重ねた。

そして、勝利を大きくたぐり寄せる一撃は、やはり山川だった。5回無死二塁。早川の144キロ直球をバックスクリーン左へ運ぶ27号2ラン。外角低めの難しい球を芯でたたいた。直前には7月の打率が4割2分9厘の森が二塁打で出塁。ここでは4番の“前”でしっかりお膳立てした。軸の前後のバットが振れてくれば、得点増は必然の結果だった。

5月11日には首位楽天と8・5ゲーム差と離されていたが、いよいよ奪首が見えた。辻監督は「まあ先は長いよ」と、浮かれる様子はない。これまでは、ともにリーグトップのチーム防御率(2・45)と救援防御率(1・60)に支えられ、接戦をものにする戦いが多かった。この鉄壁の投手陣に加え、破壊力抜群の「山賊打線」も戻ってくれば、強いに決まっている。交流戦明けは13勝5敗で、貯金は今季最多の6。鷹の背中にピタリついた。【上田悠太】

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