阪神が巨人先発戸郷に完封され、今季17度目の0封負けを喫した。先発アーロン・ウィルカーソン投手(33)が初回にポランコに先制13号3ランを浴びるなど5回4失点で4敗目。毎年夏の恒例イベント「ウル虎の夏」初戦を白星で飾れなかった。

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真夏の夜の夢、2年連続でウル虎の奇跡は起こらなかった。0-4の9回。糸原の中前打、梅野の左前打で2死一、二塁の好機をつくったが、最後は中野がフォークを引っかけて一ゴロ。今季早くも17度目のゼロ封負けで、戸郷には17イニング連続0行進となった。

矢野監督も「(戸郷は)完封されるような調子じゃないと思うけどね。こっちが打ち損じてるというか、打ってないというだけ」と言葉に力がない。4回は連続四死球で無死一、二塁の好機をもらったが、10試合ぶりスタメンのロハスが遊ゴロ併殺打に倒れた。この日は夏の恒例イベント「ウル虎の夏2022」の初日。3万8753人のファンが駆けつけたが、甲子園にため息が充満した。

1年前の7月12日のDeNA戦。虎ナインはの9回2死からの5連打で3点差を大逆転し、指揮官が感涙した劇的サヨナラ勝利をつかんだ。その口火を切ったのが佐藤輝で、今年も「ウルトラプレーを見せつけたい」と臨んだが、状態が少し心配だ。3点を追う3回2死一、二塁では、内角高めの初球148キロに詰まって三飛。悔しさをあらわにした。4番に元気がなければ、巨人を2本上回る先発野手全員の8安打を放っても、得点が生まれない。

夏バテ気味なのか。7月に入って下降気味だ。今月は7試合で打率2割4分、0本塁打、1打点。6月30日DeNA戦(横浜)の5打席目から、29打席連続本塁打がない。さらに甲子園では4月15日の巨人戦以来30試合、127打席ノーアーチが続く。先週末の神宮では、藤井康巡回打撃コーチが付きっきりで飛距離を意識した打撃練習に取り組んだ。だが、なかなか花火が上がらない。84試合消化時点で、昨季より6本少ない14発にとどまっている。

チームは前半戦残り12試合で借金完済ターンを目指して9勝3敗計画を立てた。だが、いきなり初戦でつまづいて借金6に逆戻りした。勝てば2位巨人に1・5差まで迫れたが、逆に3・5差に広がった。矢野監督も「まあまあ打線でしょ。うちのそこはね、みんなよくやってくれた。せっかくね、たくさん入ってもらったのに」と残念無念。今日こそは佐藤輝ら野手陣が奮起して、黄色と緑色で埋まった「ウルトラの夏」を盛り上げたい。【桝井聡】

▼阪神は今季17度目の完封負けを喫した。年間28度ペース。球団最多の、63年24度の更新も視野に入る。

▼巨人戦の完封負けは今季初。21年7月11日(甲子園)以来。1人の投手に完封されたのは、20年8月18日(東京ドーム)菅野以来。甲子園では、17年9月20日の同じく菅野以来、5年ぶり。

◆昨年のウル虎ユニホームでの大逆転 7月12日DeNA戦(甲子園)で、3点差をひっくり返してサヨナラ勝ちした。0-3の9回2死一塁から代打佐藤輝、近本、糸原、マルテ、大山の5連打。すべて単打で、三嶋を打ち崩した。あまりの劇勝に矢野監督はインタビューで思わず涙ぐんだ。

◆ウル虎の夏 阪神主催の夏場の試合で、期間限定ユニホームを着用するイベント。和田監督時代の13年に始まり今年10年目を迎えた。初年度は胸に大きく「HT」マークをつけた奇抜なデザイン。毎年黄色主体のユニホームが多いが、14年には緑色が採用された。通算成績は25勝35敗2分けで勝率4割1分7厘。巨人は2勝8敗と分が悪い。

○…浜地が1回を3者凡退に仕留めた。7回に3番手として9日ぶりにマウンドへ。先頭ポランコを外角直球で見逃し三振に抑えた。その後も直球を軸に中田を右飛に、大城には直球で見逃し三振と料理した。「なんとかゼロで抑えて後ろにつなぐつもりでマウンドに上がりました。しっかりと自分の球を投げることができたかなと思います」と納得顔だった。

○…岩貞祐太投手が1回を無失点に抑えた。4点ビハインドの6回に2番手で登板。第1打席で二塁打を放った八百板を133キロのスライダーで空振り三振に仕留める。テンポのいい投球で丸を右飛に、岡本和を149キロの直球で右飛に抑えた。「0点で抑えて流れを持ってくるんだという気持ちで投げました」。左腕はこれで6試合連続無失点と中継ぎの役割を果たした。

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