チョーさんの恩返しだ!広島の長野久義外野手(37)が、8年ぶりの満塁弾で10年ぶりの2打席連発を決め、2カ月ぶりの2位浮上を導いた。先制決勝の1号ソロを含む今季初の猛打賞で、13年目で自己最多タイの5打点を挙げて11得点大勝に貢献。「夏男」の呼び声高いベテランが、古巣巨人相手にかつての本拠地東京ドームで躍動した。連勝で4カードぶりに勝ち越しを決め、5月16日以来の2位だ。

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長野が甲高いインパクト音を、かつての本拠地東京ドームににこだまさせた。それも2打席連続だ。巨人時代の12年7月12日以来、10年ぶりの2打席連続アーチ。自身3度目の1試合2発で、2カ月ぶりの2位浮上に導いた。

まずは0-0の2回2死。カウント1-2から真ん中に入ってきた巨人アンドリースのチェンジアップを左翼席に運んだ。「先制することができて良かった」。昨年7月8日以来のアーチが、決勝弾となった。

1本では終わらなかった。3点を追加してなお無死満塁の3回。2番手左腕戸根の124キロスライダーを強振。127メートルの放物線を中堅バックスクリーンに運んだ。2打席連続アーチも、巨人時代の12年以来2度目。「感触はあまり覚えていないけど、フェンスを越えてくれてよかった」。勝利を決定づける“恩返し”のグランドスラムで8点差に広げた。

6月28日には不調で今季初めて2軍降格。「若い選手たちと一緒に泥んこになりながら、どんどん走って、バットを振って、帰ってきた。太陽を浴びた」。出場8試合で23打数14安打、打率6割9厘と圧倒的な数字を残し、2週後の7月12日に再昇格を果たした。

佐々岡監督も「ファームで結果を残して上がってきて、本当に良い働きをしている」と称賛。「あの満塁の本塁打が大きかった」と絶賛が止まらなかった。チームも2日で順位を2つ上げ、借金2ながら2カ月ぶりに2位浮上。ヒーロー長野は引き締めた。「順位は気にしていない。目の前の1試合1試合を全力で頑張りたい」。次の1勝を堅実に積み重ねる。【前山慎治】

▽広島朝山打撃コーチ(長野について)「(降格前は)打ち損じがあった。(今は)キレがある。スイングもベースランニングにもキレを感じる。元々夏から強い」

▼長野が2回に1号ソロ、3回に2号満塁弾。長野の2打席連発は巨人時代の12年7月12日広島戦以来2度目で、満塁弾は同じく巨人時代の14年9月6日ヤクルト戦以来4本目になる。巨人へ入団した選手が他球団へ移籍後に古巣の巨人戦で満塁弾を打ったのは20年10月27日ロペス(DeNA)以来だが、日本人選手では駒田(横浜)が96年8月22日と97年7月16日に打って以来、25年ぶり。なお、前日には磯村が満塁弾を打っており、広島の2試合連続満塁本塁打は18年6月24日鈴木→26日松山以来。

○…広島4番マクブルームは2二塁打&12号ソロで快勝に貢献した。3点リードの3回にアンドリースから左翼手の頭上をライナーで越す適時二塁打。4回先頭では戸根から左中間席に運び、8回2死では2本目の二塁打。今季4度目の猛打賞に「積極的に振っていく中でも、自分を見失わず、甘い球を逃さずに打てている」と手応えばっちり。7月は打率3割8分8厘ですでに月別最多の5本塁打をマーク。長野と並ぶもう1人の「夏男」も絶好調だ。

○…広島小園が今季初の4安打でチャンスメークした。2回にアンドリースから左中間二塁打を放つと、3回と4回はいずれも中前打。7回は左中間へ二塁打を運んだ。4安打とも走者なしからで攻撃の起点となった。「4安打はたまたま。(調子が)悪いときに1本打てたら一番良いけど、そこがまだ自分に足りないところ」。9回最終打席は空振り三振で前日からの連続打席安打は5で止まったが、冷静に足元を見つめた。

○…広島先発森下は7回2死一、二塁で降板となったが大量援護を受け、7勝目を挙げた。11-0の7回に変調。先頭丸のソロから2本の適時打などで4点を失った。「気持ち的に余裕を持って投げられた。(7回は)全体的に球が真ん中に集まっていた。点を取られたところだけ、しっかりと反省して。勝ちがついてくるのが一番」。自身4連敗から3連勝。ローテの一角が復調の手応えを深めている。

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