借金完済へ、頼れる男が帰ってきた。阪神大山悠輔内野手(27)が18日、6日ぶりに1軍復帰した。新型コロナウイルスの濃厚接触者となり、13日に出場選手登録を抹消。雨天中止となった広島戦(マツダスタジアム)にさっそく「5番一塁」でスタメンに名を連ねた。球宴までの借金完済には残り5試合で4勝1敗が最低ノルマ。前半戦ラストスパートを引っ張ってくれ。

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マツダスタジアムの虎党が胸を躍らせた。1度は読み上げられた先発オーダー。「5番一塁」に大山の名前があった。今季5度目の雨天中止も、じめじめした暑さを吹き飛ばす朗報だ。「大山、お帰り!」「明日、頑張ってや!」。宿舎へと帰るチームバスに向けて、ファンの声援が飛んだ。みんな背番号3を待っていた。

大山不在の間を4勝1敗で乗り切った。3つある借金完済のためには、球宴までの5試合で4勝1敗が最低条件。チーム最多19本塁打、63打点の主砲の帰還がさらなる勢いを生む。「あいつがいない間も勝ってきたので、プレッシャーも多少あるだろうし。ちょっと休んだ分、張り切る部分もあると思う」。井上ヘッドコーチは気持ちを代弁するように言うと、「そのへんもプラスに働いてよ、という気持ちはある」と奮起を期待せずにはいられなかった。

ブランクも問題ないようだ。「本人と相談した中で大丈夫だっていうことやったし、いけると判断して」。起用を決めた矢野監督は、そう説明した。近親者のコロナ感染で濃厚接触者となり、特例2022の対象選手として13日に出場選手登録を抹消。前日17日に2軍戦で実戦復帰し、攻守に違和感のない動きを披露していた。前半戦ラストスパート。借金完済計画への態勢は整った。

チームは6月以降、22勝12敗。3番近本、4番佐藤輝、5番大山の「ドラ1クリーンアップ」が打線の軸として固まり得点源となっている。「まずは他のメンバーで頑張って。悠輔には気楽っていうわけにはいかんけどね、やらせてあげる方がいいんじゃない」。指揮官の希望通り、「5番」が戻ったことで、マークが集中していた佐藤輝への相乗効果も計り知れない。今季はマツダスタジアムで6戦勝ちなしも、雨天中止後の試合は3戦3勝。雨上がりの虎は、大山とともに輝く。【中野椋】

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