昨年の覇者・青森山田(東北連盟)が世田谷西TC(関東連盟)を10-0の5回コールドで破り、決勝戦に進出した。先発の菊池統磨(3年)が横手投げからの直球とスライダーを武器に4者連続三振を奪うなど、相手打線を圧倒。5回まで内野安打1本しか許さなかった。打線も5人の投手から着実に得点して、危なげなかった。1990年~93年の港東(関東連盟)の4連覇以来の連覇に王手をかけた中條純監督は「記録は狙いたいが、今はこの選手たちと1試合でも多く野球をやりたいと願っています」と話した。

敗れた世田谷西TCは、世田谷西でベンチ入りできなかった「Bチーム」「2軍」と呼ばれていたメンバー。今年から導入の複数チームエントリー制度でつかんだチャンスを生かし、2回戦敗退の本隊以上の3位に食い込んだ。総監督としてYouTubeで話題の「ホーライスイング」を伝授してきた蓬莱昭彦氏が今大会は背番号30を背負い、チームを率いた。「上出来だと思います。菊池統投手は本隊の選手でも苦労すると思います。ヘッドの重みを生かして、振りにいかずに、ボールの勢いを利用して打ち返さないといけなかった。でも、メンバーに入れず、スタンド応援で終わっただろう選手がよく頑張った。連盟の理解でルールを作ってくれたことに感謝したい」と話した。背番号10で代打専門だった柴田レオ主将(3年)は、この日は捕手として途中出場した。「大会に入ってチームがまとまった。野球が楽しかったです」と涙はなかった。

奈良県の五條(関西代表)が札幌新琴似(北海道連盟)を5-1で破り、初出場ながら決勝に進出した。先発左腕の松本連太郎(3年)が5回1失点で粘る相手に主導権を与えなかった。ピンチを迎えるとDeNA三浦監督の恩師でもある山本剛志監督がマウンドに選手を集めた。松本は「力んでしまうところがあるので『三振はいらんから』と声をかけてもらったのがよかった。チーム一丸となって、全国制覇したいです」と話した。

決勝戦は8日午前9時から、埼玉・所沢航空記念公園野球場で行われる。