阪神カイル・ケラー投手(29)が前夜の悪夢を振り払い、待望の来日初セーブを手にした。

6日に4失点と炎上した守護神岩崎の代役として9回のマウンドへ。先頭秋山、マクブルームと立て続けに空振り三振を奪い、最後は坂倉に右中間への大きな飛球を放たれるも、中堅近本がフェンス際でキャッチ。何度も手をたたいて喜びを爆発させた。

「ブルペンが粘って、野手が逆転して、本当にチーム全体で素晴らしい勝利だと思います」

前夜は9回に登板した岩崎が3点のリードを守り切れず、ショッキングな敗戦となった。湯浅と並びチーム最多43試合に登板している左腕について矢野監督は「優(岩崎)はちょっと休む方がいいなと思って、今日は使うつもりはなかった」と説明。「そういう流れの中でケラーもしっかり行ってくれたのはまたプラスアルファの要素ができて、いろんなオプションも使える」とうなずいた。

4カ月の時を経て、ケラー自身も雪辱を果たした。今季開幕守護神を務めるも、2試合連続でセーブ失敗して2軍に降格。3月29日広島戦でサヨナラ負けを食らい、つらい経験をした地でリベンジに成功した。「本当に3月は自分のせいで負けてしまった。それをやり返すという意味では今日はそれができたんで良かったです」。価値あるセーブをもぎ取った。【古財稜明】

○…糸原健斗内野手のビッグプレーが流れを呼んだ。同点で迎えた7回守備。1死一、二塁から西川のセンターへ抜けようかという当たりを二塁糸原がダイビングキャッチ。そのままグラブごと二塁へバックトスした。ふわりと舞い上がったボールを二塁ベースカバーの中野が捕球。際どいタイミングで1度はセーフと判定されたが、矢野監督のリクエストで覆った。その後、岩貞が後続を断ち切って最大のピンチを無失点で乗り切った。糸原は「必死で。送球というかトスは浮きましたけど、拓夢が伸びてくれて、結果的にゼロで抑えて、その後逆転できたんで良かった」と振り返った。

○…加治屋蓮投手が8日ぶりの登板で5ホールド目を挙げた。6回に登板し1四球も無安打無失点。先頭から堂林、会沢と代打攻勢をしかけられたが、落ち着いていずれも遊ゴロに仕留めた。「久しぶりの登板だったので少し緊張もあったが、0点で抑えることができてよかった」と安堵(あんど)の表情だった。

○…島本浩也投手が復帰から2戦連続無失点で今季初ホールドを挙げた。同点に追いついた直後の5回に2番手で登板。4番マクブルームを左飛に打ち取るなど1安打無失点。「チームが追いついた直後だったのでリズムよく投げることを意識した。無失点で抑えることができてよかった」。19年のような頼もしい姿で終盤戦のブルペン陣を支える。

○…8回の男、湯浅京己投手が2点を勝ち越した直後に登板し、無失点で切り抜けた。2死から野間に安打を許したが、続く菊池涼を直球で三邪飛と力で抑えた。「野手の方々が点を取ってくれた後の登板だったのでアツアツな投球を心がけました。勝ち越しタイムリーを打ってくれた(島田)海吏さん、ありがとうなぎ!」と、32ホールド目のコメントはノリノリだった。

【ニッカン式スコア】7日の広島-阪神戦詳細スコア