深刻な「タイムリー欠乏症」だ。阪神が2試合連続、今季21度目の完封負け。5連敗で借金は「2」に増えた。3度の得点圏をものにできず、26イニング連続無得点&43イニング連続適時打なし。矢野監督も声を絞り出すしかなかった。

「う~ん。まあね、みんなに何とかしようという気持ちはもちろんあるけど、プロである以上、それを結果で示すってところも必要だと思うので。そうしていけるように頑張ります」

そこまで言うと続く質問を自ら遮り、報道陣にくるりと背を向け、その場を後にした。試合後の会見は約1分で、就任後最短。好投の藤浪を見殺しにし、巨人に同率3位に並ばれた夜、もどかしさが積もった。

最大の好機は0-0の4回無死二、三塁。ここで4番佐藤輝、5番陽川、6番山本が、中日小笠原に3者連続空振り三振に仕留められた。佐藤輝は2点ビハインドの8回2死一、二塁でも力ない左飛。中野、近本、大山と主力がコロナ禍で離脱する現状、頼みの4番が10打席連続無安打、この1週間の5試合で17打数1安打と苦しい。

反発力に乏しい打線のテコ入れも図った。4試合連続で3番起用し、18打席連続無安打と不振のロドリゲスをスタメンから外した。ホームゲームで2日連続早出特打も敢行。佐藤輝、島田、小野寺、板山に加え、この日は異例ともいえる助っ人ロドリゲスも参加した。試合のなかった首位ヤクルトとは9ゲーム差。底を抜けるには、必死にもがくしかない。【中野椋】

○…練習では“椅子破壊弾”打ってたのに…。試合前フリー打撃で、佐藤輝の右翼スタンド中段への強烈な打球によって、京セラドーム大阪の客席が破壊されるハプニングがあった。右翼スタンド「24列-529」の客席へ突き刺さったボールは、そのまま座席へめり込み、穴が開いた。球場スタッフが対処を行い、すぐさま椅子の交換は完了。観戦に影響はなかった。佐藤輝は3打数無安打に終わり、試合での再現とはならなかった。