<日本ハム2-0ソフトバンク>◇27日◇札幌ドーム

試合終盤の7回、ポンセは「お母さん。あと1回、お願いします」と祈った。8回のマウンドに上がる前には「お母さん、頼むよ」。17年に母ジェニファーさんが脳腫瘍で他界。「すごく頑固で、自分と自分の兄弟に愛情をいっぱい注いでくれた」。脳腫瘍の啓発活動を始めたのは、母を亡くしてからだった。

勝利球の行方を聞かれると、両手で頬づえをついたまま数十秒、沈黙。「もし渡せるなら、亡くなったお母さんに渡したい。ボールもグラブもユニホームも、全てお母さんに渡したい」と静かに口を開いた。

持ち前の明るさが日本でプレーする夢をかなえた。練習中、捕球しようとする選手へ向けて大声を出す。「自分が捕るっていうジョーク」。驚かせて、周囲を笑わせる。この陽気さが、ビッグボス体制には必要だと球団は判断した。ハーグシャイマー駐米スカウトディレクターは「明るさとマウンドでの躍動感は、ファイターズの目指す野球に合っていた」という。母を失う苦しい経験をしたからこそ、異国でのたくましい姿がある。【日本ハム担当=田中彩友美】

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