令和のダブルエースよ、53年ぶりのワンツーフィニッシュだ! 阪神のデータを深く掘り下げるスカイAの人気番組「虎ヲタ」に出演中の高野勲記者は、セ・リーグの防御率1位の青柳晃洋(28)と同2位の西勇輝(31)に注目。阪神の投手が同部門でこのまま上位を独占すれば、1969年(昭44)の1位江夏豊1・81、2位村山実2・01以来53年ぶりの快挙になる。

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変則サイドスローと、本格派。異なる個性の青柳&西勇コンビは、球団史に残るダブルエースとなりそうだ。5日現在、セ防御率(1)位青柳は1・61、(2)位西勇は2・09。堂々たる数字で阪神だけでなく、セ・リーグの先発陣をリードしている。このまま阪神投手が防御率上位を独占すれば、69年の(1)江夏豊1・81(2)村山実2・01以来の快挙になる。

53年前の2人は、左右の両輪として堅実な働きを見せた。前年25勝を挙げ左のエースの座を固めた江夏は、前半戦で連続41イニング無失点の安定感を発揮した。また、村山は8月1日の巨人戦で、通算2000奪三振を達成。円熟の域に達していた。(3)位に入ったのも、阪神の鈴木皖武(きよたけ)。サンケイ(現ヤクルト)からトレード移籍して、防御率2・17の好成績を挙げた。同部門の上位3人を同一球団が独占したのは、セ・リーグ初だった。

阪神で防御率1、2位を占めたのは、2リーグ分立後では、ほかに2組いる。

62年の(1)村山1・20と(2)小山正明1・66は、球史に残る右の両輪だった。剛速球の村山に対し、小山は「針の穴を通す」と称されたコントロールの持ち主。村山が関大のエースというエリートだった一方、小山は高砂高からテスト入団したたたき上げだった。

好対照の2人を、藤本定義監督が巧みに使いこなした。阪神に初めて、ローテーションという概念を導入。適度に登板間隔を空け、休養十分な状態を保った。この年、村山25勝、小山27勝。セ・リーグ初優勝に大きく貢献した。

67年の(1)権藤正利1・40と(2)若生智男2・14は、ともに移籍投手だ。権藤は東映(現日本ハム)、若生は大毎(現ロッテ)からそれぞれ加わった。この年の試合数は136で、権藤の投球回は135イニング。規定投球回不足に見える。だが、9月23日の大洋(現DeNA)戦が、判定を巡るトラブルから没収試合となり、阪神が敗北。実質の試合数が135となった。このため、権藤が規定を満たすとみなされる異例の展開になった。

青柳は21年、初の2桁勝利となる13勝で最多勝&最高勝率を獲得した。今季も12勝を挙げて、ハーラートップを走る。昨季6勝の西勇は、9勝をマーク。2人がそろって2桁勝利を挙げれば初めてになる。今季の阪神投手陣は、藤浪が復活を遂げ、湯浅、浜地、才木、森木ら若手の台頭が著しい。令和のダブルエースを軸に、投手王国が誕生しそうだ。

【記録室=高野勲】(スカイA「虎ヲタ」出演中。今年3月のテレビ東京系「なんでもクイズスタジアム プロ野球王決定戦」準優勝)

◆虎ヲタ~知ればアナタも人気者~ 阪神タイガースをデータから読み解く、新感覚の野球情報番組。ファン目線のトリビアなものや、日刊スポーツの記者が持ち込みで紹介するここだけの硬派なネタで、阪神を徹底分析する。増田英彦(ますだおかだ)関本賢太郎(阪神タイガースOB)高野勲(日刊スポーツ記者)がレギュラー出演。9月号のテーマは「掛布雅之」。掛布氏本人をスタジオに招き、野球から趣味に至るまでさまざまな話題を語り尽くす。放送予定はスカイAホームページで。