阪神は3連敗を喫し、4位広島に1ゲーム差まで迫られた。

同点で迎えた延長10回表2死一、二塁、8番長岡の遊撃へのゴロが難しいバウンドとなり、遊撃手中野が後逸して二塁手植田も止められず(記録は安打)。二塁走者のホーム生還を許した。しかしその裏、2死一、三塁から代打原口文仁内野手(30)が左前打を放ち、一時同点に追いついた。

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勝負への執念が乗り移った打球だった。

「みんなが粘ってつないでくれたチャンスだったので、なんとか自分でまず1点をもぎ取りたいという一心でした。追い込まれていたけど、とにかく必死に食らいついていくことができたと思います」

1点を勝ち越された直後の延長10回。2死一、三塁とチャンスを作り、代打原口がコールされた。ヤクルトの抑えマクガフに2球で追い込まれたが、3球目の外角カットボールに必死に手を伸ばした。ジャストミートではなかったが、ライナーはジャンプした遊撃長岡のグラブのわずか先を越えていった。塁上で右こぶしをグッと握った。

延長に入ってからの痛すぎる失点の直後だった。雨が降り続く中、応援を続ける甲子園の観客が、再び沸いた。

今季は前半戦の不振に新型コロナ感染も重なり、1軍初安打が出たのが8月13日。打撃だけでなく、矢野監督も高く評価するムードメーカーであり、チームにとっても痛かった。ただその8月13日からは代打で7打数5安打の猛打ぶり。連敗は止められなかったが、切り札の復活は心強い限りだ。【柏原誠】

○…大山が5月6日以来、約4カ月ぶりの4番で意地の一打を放った。5打席ノーヒットで迎えた延長11回。先頭でヤクルト大西から右前打を放ち、2点ビハインドのチームを勇気づけた。守備では7回表2死、ヤクルト山崎の左翼ライン際の安打に猛チャージ。二塁へランニングスローを決め二進を阻止するなど、軽快な動きだった。

▼阪神は今季の延長戦で2勝9敗3分けと大苦戦。有利なはずの甲子園も1勝5敗2分けと分が悪い。14試合の延長イニングでの適時打は、この日の原口が3本目だった。

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